カナダのケベック州は、その歴史的な経緯から独立運動が盛んな地域として知られる。このケベックで2014年度に出版されたマンガに関する統計資料が発表された。報告書を書いたのは、ケベックのマンガについての専門家であるMichel Viau(ミシェル・ヴィオー)氏。ヴィオー氏は、2014年4月にケベックにおけるマンガの歴史を、その起源から1979年までをまとめた書物の第1巻、BDQ, Histoire de la bande dessinée québécoise au Québec Tome 1: des origine à 1979(『ケベック・マンガの歴史 第1巻:起源から1979年まで』)を刊行している。ちなみに、本書の記述は1759年から始まっており、それはそれまで禁止されていた印刷がカナダのヌーベルフランスで可能になった年だからとのこと。

フランスの「マンガ評論家・ジャーナリスト協会」(Association des critiques et des journalistes de bande dessinée、略称ACBD)が毎年発表している年次報告書メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)を参考にしており、基本的にはその年に発表されたマンガ単行本(フランス語で「アルバム」と呼ばれる)の点数を分析したものだ。2014年に刊行された単行本は全体で168点。うち、131点がフランス語、37点が英語によるものだった。また、全体の41%に当たる69点が翻訳作品で、フランス語に翻訳された55点は、アメリカのスーパーヒーロものや、ディズニー作品がその多くを占めるという。またジャンルについては、ユーモア作品が最も多く、純粋なユーモア・マンガとユーモアを含んだ他ジャンルの作品を加えると、全体の76.8パーセントにあたる109点がこのジャンルに当てはまるとのこと。出版社としてはPresses AventureScholastic CanadaDrawn & Quarterlyの三社で市場の約4割を独占している。

カナダ全体についての統計ではなく、あくまでケベックに限定した資料だが、それでも現地の実情が垣間見えて興味深い報告書となっている。

ケベックにおけるマンガ統計資料(2014年度)
http://mem9ire.ca/bilan-bdq/