2013年8月21日から27日にかけて、横浜市内にてFAB9(第9回世界ファブラボ代表者会議)が開催された。

MIT CBA(Center for Bits and Atoms)所長のニール・ガーシェンフェルド教授が立ち上げたファブラボは、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備える、地域市民のための工房ネットワークのことである。既に世界各都市に設立されており、その数は年々増加している。

近年、ファブラボが注目を集めている背景の一つとして、3Dプリンターやカッティングマシンなどのデジタル制御による工作機械の急速な進化と普及がある。この新たな工作機械の登場は、物体をスキャンしてデータにする、そしてデータを実体化することを容易にし、個人によるものづくりの可能性が広がっている。さらに、それらの機械、および作り手がインターネットを介して世界中とつながることで、ものづくりの環境自体が大きく変化を遂げようとしている。

世界ファブラボ代表者会議は、ファブラボを運営する代表者・関係者が年に一度物理的に集い、共にものをつくり、語り合う集中ワークショップである(今年は40カ国192人が参加)。会期中は、世界中のファブラボの活動紹介、国内外の研究者やクリエイターによる講演、多様なテーマでの議論、ものづくりワークショップ、展示などのプログラムが朝から夜まで目白押し。世界のファブラボの活動は、単に新しい機械や技術の普及に留まらず、教育や街づくり、新産業創出など、地域に根ざしながら、各地の社会的課題や状況に応じて多様に展開されており、ビジョンや問題意識を共有する参加者たちが熱心に議論を繰り広げた。

さらに、この会議のためにSuper FabLab(スーパーファブラボ)と呼ばれる、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備える世界最大規模のファブラボが会場に期間限定で設立され、廃材を利用した楽器作りや電子工作など、毎日24時間開放された工房で参加者たちは思い思いにものづくりに没頭した。

今、日本の各地にもファブラボが設立・運営されている。2013年8月末には横浜・関内に新たなファブラボが誕生した。FAB9の日本開催を契機に、この流れがさらに加速することが予想・期待される。近くのファブラボに足を運び、新しいものづくりのカタチを体験してみてはいかがだろうか。

FAB9

http://www.fab9jp.com/

FabLab Japan

http://fablabjapan.org/