愛知芸術文化センター内の愛知県文化情報センターは、2012年6月8日から10日、および19日から21日まで「ビデオ・アートから映像アートへ──愛知県文化情報センター所蔵映像作品を中心に」を開催する。本センターが所蔵する作品から、ビデオ・アートのパイオニアであるナム・ジュン・パイク氏をはじめ、ビル・ヴィオラ氏、松本俊夫氏の代表作や初期作品を上映。また、当センターが開館以来、毎年続けてきた映像のコミッションワークから、牧野貴《Generator》(2011年、「第41回ロッテルダム国際映画祭」短編部門最高賞授賞)と柴田剛《ギ・あいうえおス──ずばぬけたかえうた》(2010年)を上映する。その他、かわなかのぶひろ氏が1977年に設立したイメージフォーラムが主催する「イメージフォーラム・フェスティバル2012」の一般公募に応募した愛知県出身・在住作家の作品を集めた愛知特別プログラムと、「第5回あいちデジタルコンテンツコンテスト」(2011年開催)の一次審査通過作品を紹介する。

本上映会のタイトルにある「映像アート」について、主催者は「1970–90年代にかけて、ビデオ・アートと呼ばれていたジャンルの作品が、表現としての洗練度や厳密さを高めるにつれて、映像を用いたアート作品(=映像アート)と呼ぶべきものへと深化」してきた形態として解説する。「ビデオ・アート」がビデオテープによるシングル・チャンネル作品を必ずしも指すとは限らないように、メディアアートをめぐるジャンルや用語は多様で、明確な定義が難しい場合が多い。

今後、「映像アート」という用語が定着していくかどうかはさておき、本上映会が、新しい映像表現の台頭を共有しながら、「実験映画」や「ビデオ・アート」と呼ばれる表現の創出背景や定義について改めて議論する機会になることを期待したい。

なお、2012年6月13日から17日まで、同センターで「映像アートの祭典──イメージフォーラム・フェスティバル2012」が開催される。

ビデオ・アートから映像アートへ──愛知県文化情報センター所蔵映像作品を中心に
主催:愛知芸術文化センター
企画:愛知県文化情報センター
http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/2012/12jyoei/index.html

イメージフォーラム・フェスティバル2012
http://imageforumfestival.com/