広島県広島市にて2年に一度開催される広島国際アニメーションフェスティバルの第14回大会が、2012年8月23日に開幕した。8月27日までの5日間で、コンペティション部門と特別上映部門の二つの部門に分かれた上映や、各種イベントが行われる。国際名誉会長にはイギリスを代表するアニメーション・スタジオであるアードマンの設立者の一人ピーター・ロード氏が選ばれ、回顧上映に加え、最新長編『ザ・パイレーツ! バンド・オブ・ミスフィッツ』(2012)の上映やトークが予定されている。

コンペティション部門には、アニメーションを学ぶ学生の世界的な増加などの要因により、映画祭史上最大の2,110作品の応募があり、66作品が入選作品として選ばれた。日本の作品では、地元広島で活躍する二人組ユニットpecorapedによる『SPONCHOI Pispochoi』(2010)など、若手女性作家の作品が多く選出されているのが目立つ。同映画祭で過去二度グランプリを受賞している山村浩二監督の『マイブリッジの糸』(2011)にも注目が集まる。また、ベルリン国際映画祭での銀熊賞の受賞ニュースの記憶も新しい和田淳監督の『グレートラビット』(2012)も選出されている。

特別上映部門では、恒例の大規模な国別特集でノルウェーのアニメーションが17プログラムに分けて上映され、『アングリーマン〜怒る男〜』(2009)で前回のグランプリを受賞したアニータ・キリ監督の特集上映などがある。

例年に比べ、長編の招待上映作品が多いのも特徴的で、フィル・ムロイ監督『デッド バッド ノット ベリード』(2011)やポール・ブッシュ監督『バベルドム』(2012)など、近年の世界的な流行でもある個人作家の手による長編作品が並んでいるのが見どころだ。日本作品では、杉井ギサブロー監督『グスコーブドリの伝記』(2012)の上映がある。

国際審査委員には、『ミルク』(2005)で2006年の広島国際アニメーションフェスティバルにおいてグランプリを取り、日本でも人気の高いイゴール・コヴァリョフ監督や、『バンビ、ゴジラに会う』(1969)などでカルト的な人気を博すマーヴ・ニューランド監督らの名前が並ぶ。国際選考委員の作家は、講演や質疑応答も含めた特集上映プログラムが予定されており、こちらも貴重な機会となっている。

今回の映画祭のもうひとつの注目は、ASIFA-JAPAN設立30周年記念特集である。国際アニメーション協会(ASIFA)の日本支部であるASIFA-JAPANは、現会長でフェスティバルディレクターの木下小夜子氏を中心に、広島国際アニメーションフェスティバルの設立および運営に長年に渡って尽力してきた。ASIFA-JAPAN設立30周年記念特集では、故・川本喜八郎監督や故・相原信洋監督など、ここ数年のあいだに惜しくも逝去した日本を代表する短編作家たちの活動などが紹介される。

広島国際アニメーションフェスティバル

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