2012年9月6日から16日にわたって開催されたトロント国際映画祭で、テオドール・ウシェフ監督による『Joda (Apart)』(2012)がプレミア上映された。

この映画は、「ジャファール・パナヒを解放せよ(Libérez Jafar Panahi)」と題されたアニメーション作品のシリーズ第1作で、反体制的活動により逮捕された2010年以来、自宅軟禁や出国禁止などの処分を下されているイランの映画監督ジャファール・パナヒ氏の解放を呼びかけるものである。来年から新たにアヌシー国際アニメーション映画祭のアーティスティック・ディレクターに就任することが決定したマルセル・ジャン氏が、プロデューサーの一人として名を連ねている。

このシリーズは、プロデューサーからの呼びかけに賛同したアニメーション作家たちが無償で制作を行うもので、ウシェフ監督に続いて、スティーブン・ウォロシェン監督、ピエール・エベール監督、フランシス・デザルネ監督といったカナダ在住の著名な作家たちの作品が、第1弾として作られている。パナヒ監督の解放が実現されるまでこのプロジェクトは継続していき、ジャン氏によれば、2013年には、スイスを代表するアニメーション作家ジョルジュ・シュヴィッツゲーベル監督が手掛けたものも公開される予定である。

パナヒ監督の解放を巡っては、2010年のカンヌ国際映画祭において、映画人たちによる呼びかけが行われたことなどが有名で、現在日本でもパナヒ監督のドキュメンタリー『これは映画ではない』(2011)が公開中だが、今回のシリーズ制作については、アニメーション側からの同様の試みであるといえるだろう。

 

トロント国際映画祭公式HPの作品情報

http://tiff.net/filmsandschedules/tiff/2012/jodaapart