高知県高知市にある横山隆一記念まんが館では、2012年9月29日から11月25日にかけて、「横山隆一・長谷川町子二人〜フクちゃんとサザエさんの時代〜展」が開催されている。

故横山隆一氏は戦前から活躍したマンガ家で、故近藤日出造氏、故杉浦幸雄氏らとともに20歳の頃「新漫画派集団」を結成、「ナンセンス漫画」を旗印に、明治大正時代から活躍していた大家たちを押しのけて漫画界の主流派となっていった。その代表作『フクちゃん』は戦前・戦中・戦後を通じて朝日新聞などに掲載され、国民的な作品となっていく。

一方の故長谷川町子氏は言わずと知れた『サザエさん』の作者。『サザエさん』は夕刊フクニチに戦後発表されたのち、朝日新聞に発表の場を移して1970年代中頃まで連載が続けられた。今でもアニメの放映が続いているので、戦前から活躍していたイメージはあまりないかもしれない。しかしながら、『のらくろ』の作者である故田河水泡氏に内弟子として師事し、戦前からすでに作品を発表していた。戦前のマンガ家徒弟制度を出自とする由緒正しい作家と言えるだろう。

横山氏と長谷川氏を結ぶエピソードとしては、『フクちゃん』最終回を描いたペンを横山氏が長谷川氏に贈ったというものが有名だ。今回の展示では、そのペンも展示されている。

原画193点の他に戦後期の炊飯器や冷蔵庫なども並べられ、発表当時の時代を感じられる展示になっているようだ。長谷川町子美術館が所蔵する『サザエさん』原画が都内以外で公開されるのはこれが初めてとのこと。

なお、この展示は開館10周年を記念した企画展とされている。横山隆一記念まんが館は高知市文化プラザ「かるぽーと」内に入居しており、2012年4月で10周年を迎えた「かるぽーと」自体でも様々なイベントが開催された。「かるぽーと」には横山隆一記念まんが館のほかに、文化ホール、市民ギャラリー、市立中央公民館が設置されている。

「横山隆一・長谷川町子二人〜フクちゃんとサザエさんの時代〜展」
http://www.bunkaplaza.or.jp/mangakan/event/event_109.html