2012年12月4日、オランダを代表するアニメーション作家のひとり、ヘリット・ファン・ダイク氏が逝去した。73歳。

1938年にオランダ・ウーデンに生まれたファン・ダイク氏は、美術作家としてのキャリアを重ねた後、1970年代よりアニメーション制作を開始。実写やファウンド・フッテージのトレースを用いたアニメーションなどの手法を好んだファン・ダイク氏の作品は、美術史やアニメーション史、当時のポップカルチャーや社会問題への言及に溢れつつも軽快でユーモラスな雰囲気を持っており、とりわけハイペースで作品を発表し続けた70年代と80年代に、オランダ国内のみならず世界的に高く評価された。アニメーションのキャラクターや歴史上の人物が入れ代わり立ち代わりダンスを繰り広げる『パ・サ・ドゥ(Pas à deux)』(1988年、モニカ・ルノー氏と共同監督)と、自画像が過去の様々な影響を取り込みながら自らを完成させていく『我動く、ゆえに我あり(I Move, So I Am)』(1997年)は、ともにベルリン映画祭の短編部門で金熊賞(グランプリ)を受賞している。1998年には、オランダ政府よりライオン勲章のナイトの称号を与えられた。

ファン・ダイク氏の活動は制作以外にも及び、オランダ国際アニメーション映画祭や、先日のニュースで今年いっぱいでの閉鎖危機を伝えたオランダ・アニメーション・インスティテュート(NIAf)の設立にも深く関わった。

アニメーション以外の制作活動も精力的で、2010年の広島国際アニメーションフェスティバルに国際審査員として来日した際には、世界中のトイレで用を足す自らの姿を写すプロジェクトの写真展示もおこなった。

ファン・ダイク氏は病状の重さにも関わらず積極的な活動を続け、9月には中国・西安のアニメーション映画祭を訪問、死の直前まで新作『The Last Picture Show』の制作をおこなっていた。

ヘリット・ファン・ダイク氏の公式ホームページ
http://www.gerrit-van-dijk.nl/

NIAf公式ホームページでの訃報
http://www.niaf.nl/en/2012/12/05/animation-filmmaker-gerrit-van-dijk-deceased/

オランダ国際アニメーション映画祭公式ホームページでの訃報
http://www.haff.nl/en/haff/gerrit-van-dijk-deceased/