イギリス・ボーンマスのボーンマス美術大学(Arts University Bournemouth)の大学院に、2013年10月からアニメーション専攻が開設されることが決まり、現在一期生の募集が始まっている。

これまで、イギリスでアニメーションが学べる大学院といえば、個人作家の育成に定評のある王立芸術院(Royal College of Art)と産業分野に人材を輩出する国立映画テレビ学校(National Film and Television School)の二つが有名だった。ボーンマス美術大学は以前より、学部生の作品が映画祭をはじめとした場で国際的な高評価を受けてきており、今回の大学院での専攻の設立により、新たな勢力図が生まれることが期待される。

専攻長に就任するポール・ワード教授は、アニメーションとドキュメンタリーの研究者として有名で、とりわけアニメーション研究の分野においては、『ウェイキング・ライフ』(2001年、リチャード・リンクレイター監督)、『スキャナー・ダークリー』(2006年、リチャード・リンクレイター監督)などで使用されて脚光を浴びたデジタル版ロトスコーピング・ソフト「ロトショップ」(*)に着目した、デジタル時代の新たなアニメーション美学についての研究に定評がある。また、アニメーション・ドキュメンタリーについての論考も多く残しており、現在、国際アニメーション協会(Society for Animation Studies)の会長も務めている。

ボーンマス美術大学では、アニメーション研究(理論、歴史、実践)の修士・博士課程の募集も行われている。イギリスはアニメーション・リサーチ・センターが設立されているなど、実作のみならず、研究の分野においてもアニメーション教育の先端を走っているが、今回の一連の動きは、その層をさらに厚くするものになると考えられる。

*ムービーのビジュアル要素をリファレンスとして使用して、ムービーのフレームに描画またはペイントするソフト

ボーンマス美術大学公式HP内のアニメーション専攻の情報
http://aub.ac.uk/all/full-time/postgraduate/ma-animation/