ミシシッピー大学出版局(University Press of Mississippi)は1970年に設立され、アメリカ合衆国ミシシッピー州の8つの州立大学から援助を受けている出版社。以前からマンガに関する学術書を意欲的に出版しており、コールトン・ウォー『ザ・コミックスThe comics, University Press of Mississippi, 1991, オリジナルは1945年)』といった、絶版状態だった基本的研究書を再販するなど、アメリカにおけるマンガ研究において重要な役割を果たしてきた。

そのミシシッピー大学出版局が新たな叢書「マンガ家研究シリーズ(Critical Approaches to Comics Artists)」を立ち上げるにあたり、『タンタンの冒険旅行』の作者であるエルジェについての論考を募集している。

この叢書には12本から16本程度の論考が収録される予定で、提案されているテーマとしては、エルジェのマンガについてだけでなく、広告イラスト、挿絵などの他ジャンルにおける作品や、『タンタンの冒険旅行』以前の作品、『タンタンの冒険旅行』が注目され過ぎることによって見えなくなっている事柄について、などが挙げられている。締め切りは2014年1月1日。詳しくは下記のリンク先を参考にしてほしい。

なお、同叢書には、『ピーナッツ』の作者である故シュルツ氏や、『パレスチナ』(小野耕世訳、いそっぷ社、2007年)の作者であるジョー・サッコー氏が含まれる予定で、こちらも同じ様に論考が募集されていた。

出版社のホームページではまだこの叢書についての説明が見当たらないが、以前から刊行されていた「偉大なるマンガ家シリーズ(Great Comics Artists Series)」は単著のみで構成されていたので、複数の著者によって書かれ、しかも一般に公募する点で明らかにコンセプトが異なるシリーズとなることだろう。

ちなみに「偉大なるマンガ家シリーズ」に含まれていたのは、アラン・ムーア、カール・バークス(1901-2000)、クリス・ウェア、ロドルフ・テプフェール(1799-1846)、ギャリイー・トゥルドゥー、手塚治虫(192801989)、グラント・モリソン、ジャック・カービー(1917-1994)、リンダ・バリー、ウォルト・ケリー(1913-1973)、といった面々だった。

「エルジェ」に関する論文募集要項

http://crytc.uwinnipeg.ca/portal/node/1017