テレビゲームの小売店・チェーン店から構成される日本テレビゲーム商業組合(Games Japan)は2014年7月3日に第13回通常総会を開催し、解散する意向を明らかにした。7月24日の解散総会を経て、11月上旬に解散の登記手続きが行われる。

同組合では公式サイトで「ゲーム業界では小規模ゲーム専門店の廃業が相次ぎ、代わって様々なコンテンツを扱う大型複合店舗の寡占化が進行しており、当組合も大手の寡占化が進んだ結果、平成25年3月末の大手企業の退会により、業界を代表する店舗数を有することができなくなり、事業継続のための運営費の捻出が困難になったため、本年度の事業として解散手続きを実施することになりました」と、解散にいたる経緯を説明している。

同組合は1990年代後半にゲームメーカーとゲーム専門店チェーンとの間で争われた「中古ゲームソフト裁判」を背景に、2002年に設立された。当時ゲームソフトの新品流通は構造的な行き詰まりを見せつつあり、ゲーム専門店チェーンはメーカー側と共同歩調をとり、中古品販売を自粛するテレビゲーム専門店協会(ACES)と、販売店の生き残りをかけて中古品販売を推進するテレビゲームソフトウェア流通機構(ARTS)とに二分されていた。しかし2001年3月に東京・大阪の両高等裁判所で中古ゲームソフト売買が合法と認定されたこととなどを受け、各団体が統合される形で経済産業省の認可を受け、新規スタートを切ることとなった。なおARTSは現在も存続しているが、ホームページの更新は2006年3月30日を最後に行われていない。

その後、2002年4月に最高裁判所がメーカー側の上告を棄却し、中古ゲームソフト裁判が流通側の完全勝訴におわると、同組合が仲介する形でメーカー側との関係改善や、市場拡大のための様々な施策がなされた。

中でも代表的なものに2002年から2010年にかけて、メーカー各社の協力で大阪で開催されたゲームソフトの展示・試遊会「Games-Japan Festa」(2007年には千葉・幕張メッセでも開催)があり、毎回1万人程度を集客した。「新品市場が活性化しなければ中古市場が許諾されても意味がない」(当時の関係者談)からだ。他にゲームソフトの審査機関であるCERO(CESAレーティング機構)でZ指定(18歳未満販売禁止)とされたソフトの区分販売などの推進も実施。警察当局と協力し、古物営業に関する自主ルール制定や啓蒙活動なども開催してきた。

もっとも国内ゲームソフト市場は1997年をピークに縮小を続け、2000年代後半にはモバイル・ソーシャルゲーム市場と逆転した。2013年度の国内ゲームソフト市場が2357億円(CESA白書調べ)に対して、スマートフォンゲーム市場規模は5486億円(CyberZ調べ)と2倍以上にも差が開いている。ゲームソフト流通も前述の通り、大型複合店による寡占が進行中で、ダウンロード販売も一般化してきた。家庭用・モバイルを巻き込んでゲームソフトのデジタル流通化が進展しており、解散もその流れに沿ったものだといえる。

技術の進化に伴いIT・ゲームソフト業界では、次々に新しいビジネスモデルが誕生し、企業の新陳代謝が行われる。中古ゲームソフト裁判はディスクという「モノ」の販売を前提としていたが、モバイル・ソーシャルゲーム市場では基本プレイ無料のアイテム課金モデルが主流で、ゲームソフト流通のあり方自体が根本的に変化している。デジタル流通の波は世界的な流れで、小売店の「中抜き」は進行中だ。今回の発表も変わり続けるゲーム業界の一コマといえそうだ。

日本テレビゲーム商業組合
http://www.games-j.or.jp/