ドイツ西部の都市ボーフムに設置されたルール大学ボーフムの図書館で、2014年10月23日から2015年1月31日にかけて、「マンガのなかのホロコースト展」(Holocaust im Comic)が開催される。キュレーションを務めたのはマンガ研究者であり編集者でもあるRalf Palandt(ラルフ・パーラント)氏。Palandt氏はドイツ・コミック・スタディーズ学会(Gesellschaft für Comicforschung、略称ComFor)創設メンバーのひとりで、Rechtsextremismus, Rassismus und Antisemitismus in Comics マンガにおける極右主義、差別主義、反ユダヤ思想 (Archiv Der Jugendkulturen, 2011)の編纂者でもある。なお同名の展示は、2011年のミュンヘンでも開かれていた。

マンガにおけるホロコーストといえば、ピューリッツアー賞を受賞したアメリカのアート・スピーゲルマン氏による『マウス』(晶文社、1991年)が最も有名だろう。もちろん、ホロコーストに限らずナチスを描いた作品まで含めれば、日本をはじめとして世界各国に有名な作品がいくつも存在する。
しかしながら、ドイツ本国においてこのテーマを描くことは、やはり他の国にはない特別な意味合いを帯びることになるようだ。近年でも、Rutu Modan(ルツ・モダン)氏のDas Erbe 遺産(Carlsen, 2013)や、Christoph Heuer(クリストフ・ホイヤー)氏のDer erste Frühling ベルリン1945( Carlsen, 2007)、Reinhard Kleist(ラインハルト・クライスト)氏のDer Boxer ボクサー(Carlsen, 2012)などが評判となった。今回の展示では、同大学で開かれる「ホロコーストの表象」と題された一連のシンポジウムに合わせ、上記の作品も含めた第三帝国やホロコーストを描いたドイツのマンガ作品が取り上げられる予定だ。

ドイツのボーフム大学図書館で「マンガのなかのホロコースト展」開催
http://www.holocaustimcomic-bochum.de/ausstellung/