2015年1月7日より、平成26年度海外メディア芸術クリエイター招へい事業「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」で招へいされた3名の海外若手アニメーション作家が東京に滞在している。本事業は文化庁の「海外メディア芸術クリエイター招へい事業」を一般社団法人ジャパン・イメージ・カウンシルが受託して平成22年度より行っているもので、今回で5年目にあたる。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京」は、海外の若手アニメーション作家を対象にしたレジデンス制度である。応募者の中から審査を経て選考された3名の作家は、日本のアニメーション関係者との交流や施設の見学・訪問などを行いながら、メンターとなる日本のアニメーション作家の指導のもと(今年度は古川タク氏、木船園子氏、山村浩二氏の3名が担当する)、新作の制作に取り掛かる。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015」には61カ国から計250件の応募があり、その中から、オーストラリアとロシアの3名の作家が招へい者として選ばれた。

アレックス・グレッグ氏はオーストラリアの作家で、国際的なアニメーション作家のグループ「レイト・ナイト・ワーク・クラブ」の一員でもある。代表作の『Phantom Limb(ファントム・リム/幻肢)』(2013年)は、同グループがウェブ上で共同で発表したオムニバス作品『Ghost Stories(ゴースト・ストーリーズ)』の一編として発表された作品で、昨年の広島国際アニメーションフェスティバルで国際審査員特別賞を受賞するなどしている。

アンナ・ブダノヴァ氏はロシアのアニメーション作家である。エカテリンブルグのウラル州立大学美術・建築アカデミーの卒業後に制作したデビュー作『The Wound(ザ・ウーンド/傷)』(2013年)は、先日受賞作品が発表された文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で大賞を受賞、アヌシーや広島でも賞を獲得するなど、非常に高い評価を受けている。

もう一人の招へい者ナタリア・チェルニショーヴァ氏もブダノヴァ氏と同じくウラル州立大学美術・建築アカデミー出身で、卒業後のデビュー作『Snowflake(スノー・フレーク/雪のかけら)』(2012年)は、ソフィア国際アニメーション映画祭でのグランプリをはじめ、様々な賞を獲得している。チェルニショーヴァ氏はその後フランスを代表するアニメーションの学校ラ・プードリエールで学び、さきほど卒業制作の『Friends』(2014年)を完成させたばかりである。

「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京」はこれまで、海外の若手作家、とりわけ大学を卒業したばかりのキャリアを積み始めた作家に対し、新作制作のきっかけを与える位置づけにあるレジデンス制度である。以前の招へい者の中では、マイキー・プリーズ氏の滞在制作作品『Marilyn Myller(マリリン・ミラー)』(2013年)がエジンバラ国際映画祭のアニメーション部門でグランプリを獲得したり、エッリ・ヴオリネン氏の滞在制作作品『Sock Skewer Street 8(ソック・スキューワー通り8番地)』(2013年)がファントーシュ国際アニメーション映画祭で最優秀音楽賞を受賞するなど(同作品の音楽は日本人音楽家とのコラボーレションによって作られている)、若手作家のキャリアアップに大きな役割を果たしている。

同レジデンスの招へい者たちは、3月17日までの70日間、日本に滞在する。滞在中には、関西にて、一般参加も可能なイベント「アニメーション・アーティスト・イン・レジデンス東京2015関西上映企画 世界のインディペンデント・アニメーション2015」にも出演する。2月20日に神戸アートビレッジセンター、21日に京都芸術センターにて開催される同イベントでは、招へい作家の作品上映およびトークに加え、近年国際的に高く評価されているアジア出身の作家の特集上映も行われるなど、世界の現在のアニメーション・シーンを体感できるプログラム構成となっている。

また、今回の滞在を総括する成果発表会も、3月14日、東京にて行われる予定である。

同レジデンスおよび各種イベントの詳細については、ジャパン・イメージ・カウンシルの公式ホームページを参照のこと。

ジャパン・イメージ・カウンシル公式ホームページ
http://japic.jp/?p=1573