2012年2月22日より国立新美術館ではじまった第15回文化庁メディア芸術祭受賞作品展にて、平成23年度「メディア芸術クリエイター育成支援事業」の成果発表がおこなわれる。

「メディア芸術クリエイター育成支援事業」は、今年度より始まった文化庁の事業で、過去に文化庁メディア芸術祭での受賞経験がある若手作家の作品制作を、最大150万円の制作資金の支援を含むさまざまな点でサポートするというものだ。今年度は、アート、アニメーション、ゲームにまたがる多彩な顔ぶれの6組の対象者が選ばれた。

この育成支援事業の意義を短編アニメーションの文脈から考えてみたい。

短編アニメーションは近年の美術大学におけるアニメーション学科の設立ラッシュによって学生作品の層が厚くなり、メディア芸術祭の受賞作品もかなりの割合を学生作品が占める。いっぽうで、卒業後にオリジナル作品を作りつづけることは、ヨーロッパと比較すると助成が弱いこともあり、困難を極めているというのが現状である。日本における短編アニメーションへの助成は、文化庁の映画製作支援の枠内にすでに用意されている。しかし、申請が可能なのは法人格を持つ団体(もしくはそれに類するもの)に限られているがゆえに、現実的な問題として敷居が高かった。「メディア芸術クリエイター育成支援事業」は、その点、作家個人でも応募可能であり、可能性が広がったということができる。

メディア芸術という観点から若手作家の制作を支援するこの事業は、文化庁メディア芸術祭の受賞によっていわば「お墨付き」を与えられた作家が「次」の作品を作るためのひとつの機会を提供するものともなるわけであり、今後、この事業が継続されていくのであれば、文化庁メディア芸術祭での受賞が持つ意味合い自体が変わるといえそうだ。

今年度の支援対象作家たちの成果発表展示は、メディア芸術祭受賞作品展と同会場内で同期間(2012年2月22日〜3月4日、2月28日は休館)におこなわれる。また、2月27日と29日の2日間、ともに13時から14時半には、作家自身による成果発表のプレゼンテーションと同事業の委員とのディスカッションが国立新美術館の講堂で開催される。

 支援対象の作家と作品は以下の通り。

<アート>

津島 岳央 『a tranquil chamber』

真鍋 大度 『pub-bio(public bio data)』

<アニメーション>

大山 慶 『放課後』

ナガタ タケシ/モンノ カヅエ(トーチカ)『PiKA PiKA2011: SUN LIGHT DOODLING PROJECT』

四宮 義俊/皆川 真紀 『ファッジ』

<ゲーム>

藤木 淳 『ゲームキョウカイ』
 

メディア芸術クリエイター育成支援

http://plaza.bunka.go.jp/creator/

メディア芸術クリエイター育成支援事業 6組のクリエイターによる成果発表展

http://plaza.map-staff.jp/blog/2012/02/6-1.html