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「日本特撮に関する調査」は、メディア芸術、特にアニメーションに多大な影響を与えた特撮の変遷や創意工夫について調査・記録し、持続的に未来に継承することを目的に平成24年度・平成25年度・平成26年度と3年間にわたり行ってきたものです。

特撮は1950年代から日本特有の精密な映像技術として発展し、世界の映像文化にも、また、映像を飛び出して実社会にも、多大な影響を与えてきました。

しかし、CG技術の台頭により活躍の場が失われてきた中で、平成24年夏に東京都現代美術館で開催された「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(以下、特撮博物館)」を契機に、特撮文化の未来への伝達、そしてミニチュアの保存に関する議論が高まり、文化的系譜を調査することになりました。

本調査報告書では、特撮博物館に携わった「特撮文化の担い手」を中心に、特撮の変遷や創意工夫が詳細に調査され、記述されています。特撮が文化として捉えなおされつつある今こそ、特撮の持続的な未来への継承について考える時ではないでしょうか。

平成24年度調査はこちらからご覧ください。

平成25年度調査はこちらからご覧ください。

<庵野秀明監督メッセージ>

重ねて、ありがとうございます。
日本特撮文化の現状好転に感謝します。そして、更なる継続支援をお願いします。

3年目となる本プロジェクトですが、御蔭さまで状況は更に好転しています。

特撮の再認識が世間で見知され、3年目となる本調査事業も新たにブックリスト等が追加され、かなり内容も充実して来ていると感じます。資料の保存、修復等に関しても先が見えて来た感じがあります。

ですが、特撮文化の調査研究、遺産の保存等の事業は変わらず途上の段階です。この先も更なる継続作業が必要です。

特撮作品への御恩返しのため、特撮精神と技術を未来へ発展させるため、特撮文化を後世へ保存継承するため、重ねて皆様からの御支援、御協力をお願いします。

何卒、よろしくお願いいたします。

最後になりましたが、本事業の執筆者、関係者の皆様に三たび、御礼申し上げます。

本当に、ありがとうございます。

庵野秀明(特撮ファン)

 

<樋口真嗣監督メッセージ>

本調査も三年目を迎えました。

これも関係各位の奮闘努力の賜物として深く御礼を申し上げます。

本年度、我々の先輩が作り出したキャラクター、ゴジラが海外で製作され公開されました。

海外で作られたことは初めてのことではないし、そもそもゴジラというキャラクターは広く海外に輸出された事でその価値を上げたのだから喜ばしい事です。

そのほとんどをデジタルデータで製作されたゴジラとそれに伴う現象を担当したCGファシリティが名を連ねる中、「スターウォーズ」1977年製作の第一作目の特殊効果を担当したジョン・ダイクストラ氏が追加視覚効果のデザイナー (additional visual effects designer)として参加していました。表現方法は時代とともに変わっても、映像表現の根源たる確固たるイメージづくり、そして実現に向けたアプローチが重要であり、偉大な足跡を残した先達から学び取ろうという意図が読み取れ、その貪欲さが今なお進化を続けるかの国のエンターテイメント隆盛の秘訣なのではないかと思います。

我々もまだまだ学ばないといけないことがいっぱいあるのです。

そんな矢先に12月には平成ゴジラシリーズを大ヒットシリーズへと導いた東宝最後の特技監督、川北紘一さんがこの世を去られました。ミニチュア特撮からオプチカル合成まで縦横に使いこなし、アナログからデジタルへの橋渡しに尽くした日本特撮界のトップリーダーでした。

まだ72歳の若さだったので本調査での聞き込み順位も低く、まさかの逝去に愕然としております。

時間は、正確に無慈悲に過ぎていきます。

失ったものは、もう取り戻せないのです。

だから、これからも続けていきたいです。

先輩たちの作り出した技術を、次代に引き継いでいくために。

映画監督 特技監督 樋口真嗣

実施体制

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全 体 構 成 氷川 竜介(アニメ特撮研究家)
監    修: 庵野 秀明(監督・プロデューサー)
樋口 真嗣(映画監督)
原口 智生(映画監督、特技監督、造型師)
尾上 克郎(株式会社特撮研究所 専務取締役/特撮監督)
調査・執筆: 三池 敏夫 (株式会社特撮研究所/特技監督)
松野本 和弘 (ライター)

 

 

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本報告書は、文化庁の委託業務として、森ビル株式会社が実施した平成 26 年度「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」の成果を取りまとめたものです。

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