第5回:アニメ映画の登録データ件数比較
レポート:三原鉄也(ITコンサルタント)
※このコラムの概要や背景についてはこちらをご一読ください。
[MADBアニメ映画について]
MADBでは日本国内で制作されたアニメーションの中で、映画館で上映されたものに関するデータを「アニメ映画」として分類し、収集・登録しています。
アニメ映画についても、前回紹介したアニメテレビ番組と同様に、国内のアニメーションに関する研究書や研究者によって作成・提供されたデータと、新たに専門誌などの資料を調査して作成したデータを登録したものです。使用された資料については、メディア芸術データベース(ベータ版)の「データベース内の情報について」をご覧ください。
[アニメ映画の比較対象データと比較方法]
アニメ映画についても、前回のアニメテレビ番組と同じくリスト制作委員会「リストDB」を比較対象に利用しました。リストDBについては前回の説明をご覧ください。
[比較結果と考察]
図1は1917〜1966年の期間におけるMADB・リストDBのアニメ映画の年別データ件数の推移を示したものです。
この時期は日本映画の草創期から戦中・戦後を経て高度経済成長に向かう時期であり、全体の件数の少なさが目立ちます。2つのデータの違いに目を向けると、リストDBがMADBと同数またはやや多く、テレビ番組シリーズと似た傾向であると分かります。どの年も件数が少ないので、データ作成時期による情報の違いやデータ作成時の微妙な判断の違いや漏れにより件数に差が出ているものと考えられます。
図2は1967年〜2017年の期間におけるMADB・リストDBのアニメ映画の年別データ件数の推移を示したものです。こちらについても2つのデータの傾向は1917〜1966年の期間と同じく、リストDBがMADBと同数かやや多く推移します。近年になるとMADBの件数が多い年が散見されますが、これはテレビ番組シリーズと同様の傾向と言えます。
今回のアニメ映画はこれまで紹介してきたデータに比べて、全体の件数が極めて少ない点が特徴でした。また、件数が少ないにも関わらず各データベースの登録件数が一致しなかった点からは、同じテーマのデータであっても、作成者や作成方法が異なればその内容に違いが生じうることを表していると言えるかもしれません。
これまで5回に渡って続けてきたこのコラムも次回でいよいよ最終回となります。第6回「アニメビデオパッケージ」です。どうぞお楽しみに。