ZKM(Zentrum für Kunst und Medientechnologie Karlsruhe、ドイツ)のメディアミュージアムで2011年10月29日より展覧会「デジタルアート 保存の課題(Digital Art Works. The Challenges of Conservation)」が始まった。本展覧会は、ドイツ、スイス、フランスのオーバーライン地方におけるメディアアート関連組織が2010年1月から2012年12月まで恊働でおこなっている「デジタルアート保存プロジェクト」の一環として開催されている。
展覧会は、デジタルアートの長期的な保存のためのさまざまな試みとして実施されたケーススタディ10件をベースにした展示である。作品と資料を合わせて展示し、デジタルアートを保存するための問題を広範に明示するとともに、作品の動態保存の必要性を指摘する。主な展示作品はナム・ジュン・パイク《インターネット・ドリーム(Internet Dream)》(1994年)、ジェフリー・ショー《レジブル・シティ(The Legible City)》(1988-91年)、Jodi《OSS••••》(1999年)、アントワーヌ・シュミット《スティル・リビング(Still Living)》(2006年)などが予定されている。展覧会会期中には関連イベントとしてレクチャーシリーズが開催される。なお、2012年2月25日から4月28日までEspace Multimédia Gantner(ブルゴーニュ、フランス)、2012年6月16日から9月23日までCEAAC(ストラスブール、フランス)に巡回する予定。
本展覧会はデジタルアートやメディアアートと呼ばれる作品の収集、展示、動態保存について考える機会となり、このような領域の作品や文化の持続可能性に対する問題提起へつながるだろう。過去に同様のテーマでおこなわれた展覧会として、グッゲンハイム美術館で開催された「Seeing Double —Emulation in Theory and Practice」(2004年)、ISEA2010(ドイツ)/ Dortmunder Uで開催された「ビル・シーマン —エクスチェンジ・フィールズ(BILL SEAMAN - EXCHANGE FIELDS)」(2010年)などがある。