概要

本事業はゲーム所蔵館の多面的連携を通じて持続可能な保存環境の構築を目指すもので、平成27年度から継続して実施している事業である。これまで立命館大学ゲーム研究センターを主体として、継続的な連携組織の国内外所蔵館42カ所の内、特にアーカイブ機能を重要な目的とする施設(現時点では13施設)との間で国内外での会議を開催してきた。海外での国際会議の開催、ヒアリング調査、合計約40,000件のゲーム資料及び関連資料の目録の相互紐付けなどを行い、ゲームを保存する為の基礎的なデータ整備を行ってきた。併せて、ゲームに関わる著作権、展示手法、産学連携枠組の方法論の調査を行い、それらの成果を連携枠組の中で共有してきた。
今年度は、著作権や展示手法についてのヒアリングなど各種調査を行い、ゲーム資料の目録の紐付け作業を進めることを目的とする。また、海外の関係者を招いた国際会議を1月に京都で開催し、連携のより持続可能なかたちを作り上げていく。

中間報告会レポート

報告者:井上明人事務所 代表 井上明人

現在、展示手法について国内5カ所(バンダイナムコスタジオ、京都府城陽市、SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ、明治大学、東京芸術大学)についてヒアリング調査を行った。目録の紐付け作業は、2016年以降の国会図書館更新データ約500件、立命館大学のデータ1,000件について完了している。また、バンダイナムコゲームスの兵藤氏らとともに産学連携でアーカイブの活用について議論を進めている。著作権調査、アーカイブの利活用については、調査を進めている段階である。
今後は1月の国際会議開催に向けて準備を進めるとともに、展示手法についての調査を4カ所で行い、紐付け作業の精査と統合目録の作成、重点マップの作成を行う予定である。

井上明人

最終報告会レポート

報告者:井上明人事務所 代表 井上明人

本事業は、ゲームアーカイブの効率的な保存・収集を目的として、ゲームを所蔵する国内外の機関の連携を促すための各種の活動を行っていくものである。
本年度の大きな柱の一つとして、国内・国際連携の組織化を行った。国際連携に関わる点としては、2019年1月7日〜8日に立命館大学 衣笠キャンパス 創思館およびARCにて国際カンファレンスを実施した。カンファレンス開催にあたっては、トリノ(イタリア)、ノッティンガム(イギリス)での調整を得て、デンマーク、ドイツ、フランス、アメリカなどから登壇者を招いてセッションを行った。また、過年度までの本事業の活動が影響を与える形で、国際ゲームデータネットワーク(International Videogame Network:IVDN)も立ち上がってきている。
国内連携に向けては、1月11日に立命館大学東京キャンパスにて、第四回目となる国内連絡協議会準備会合を実施し、協議会の立ち上げが行われることについての合意を得た。
また、活動の基盤となるさまざまな調査を過年度より引き続き行った。
定性的調査として、ゲームアーカイブの利活用のための方法を検討することを目的として、ゲーム所蔵館の所蔵状況の調査、著作権調査、ゲームの展示手法についての調査・検討を実施した。著作権に関わる調査としてはゲームアーカイブが訴訟に用いられている事例について検討し、ゲームの展示手法については、今年度は6カ所の所蔵館へとヒアリングを行った。双方に共通して見えてきた点としては、第一に攻略本・公式サイト等のゲーム関連資料のアーカイブがいずれでも活用されてきていること、第二にボーンデジタルな資料を扱うケースが増えつつあり、これに関わる資料の収集が重要になりつつあることであった。
定量的調査としては、5つのゲーム所蔵館の目録を紐付けし、収集のための重点対象データを更新した。所蔵目録の紐付けについて、今年度はゲームの現物資料で2605件、ゲーム関連資料(書籍等)で4,198件、そしてOCLCのデータ2377件について実施した。こうした統合的データを構築したこと効果として、大きく収集が立ち遅れている領域を中心に効率的に収集が進みつつあること、今後の収集活動の指針となるデータとして機能してきていることが示された。

実施報告書(PDF 約4.6MB)

※敬称略