第16回文化庁メディア芸術祭の「アート部門」受賞作が発表された。「アート部門」の対象は、「インタラクティブアート、メディアインスタレーション、映像作品、デジタルフォト、グラフィックアート、ウェブ、メディアパフォーマンス等のデジタル技術を用いて作られたアート作品」とされている。

過去最多となった応募総数3,503作品(*海外からの応募は1,502作品)のうち、アート部門に応募があったのは1,802作品で、全4分野中もっとも多かった(*エンターテインメント部門:741作品、アニメーション部門:502作品、マンガ部門:458作品)。その内訳は▽インタラクティブアート:232作品▽メディアインスタレーション:288作品▽映像作品:537作品▽デジタルフォト:220作品▽グラフィックアート:189作品▽ウェブ:62作品▽メディアパフォーマンス:98作品▽その他:177作品、となっている。

今回の受賞作は以下のとおり。

大賞:《Pendulum Choi》Cod.Act (Michel DÉCOSTERD、André DÉCOSTERD)/スイス

優秀賞:《欲望のコード》三上晴子/日本

「BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW」SOL CHORD(前田真二郎、岡澤理奈)/日本

《Bye Buy》Neil BRYANT/英国

《On Pause》Mikhail ZHELEZNIKOV/ロシア

新人賞:《Outback and Beyond》Grayson COOKE、Mike COOPER/ニュージーランド

《Species series》YANG Wonbin/韓国

《Strata #4》Quayola/イタリア

今回、筆者が最も注目する点は、アート部門の対象に「メディアパフォーマンス」が加わったことだ。このことによって、美術館での展示だけではなく、シアターやコンサートホール等で上演を想定した作品まで含まれるようになった。大賞《Pendulum Choi》をはじめ、新人賞《Outback and Beyond》、審査委員会推薦作品で2作品、計4作品のメディアパフォーマンスが受賞した。また、審査委員会の推薦により授与される功労賞にはNHK電子音楽スタジオ(1955年設立)のエンジニアおよび音楽番組チーフ・ミキサーとして活躍し、現代音楽の発展に貢献した佐藤茂氏(1936年−)が選ばれた。このようなメディア芸術祭のアート部門に新しい風が吹き込まれた背景には、アート部門審査員の三輪眞弘氏(作曲家、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授)や高谷史郎氏(アーティスト、ダムタイプ)らの影響もあるだろう。今後、メディア芸術祭の表彰対象として音楽作品も検討されることを期待したい。

第16回文化庁メディア芸術祭「アート部門」受賞作品
http://j-mediaarts.jp/awards/gland_prize?locale=ja&section_id=1

第16回文化庁メディア芸術祭「アート部門」審査委員会推薦作品リスト(PDF)
http://j-mediaarts.jp/dl/awards/jury/ja/1.pdf

第16回文化庁メディア芸術祭「功労賞」受賞者
http://j-mediaarts.jp/awards/special_achievement_award?locale=ja