日本映画製作者連盟は2013年1月30日、2012年の映画産業に関するデータを発表した。発表の中心は邦画洋画の興行収入。それぞれ10億円以上の作品が発表され、そのうちアニメは洋邦合わせ13本がランクインした。
アニメ映画の興業は大きく、スタジオジブリ作品がある年と、そうでない年に分けられる。人気マンガ原作以外の企画で30億円を超えるようなヒット作を出すことができるのは、ほぼスタジオジブリだけという状況があるからだ。
その点で、2012年のアニメ映画興行を見ると、非ジブリ作品である、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が興収53億円、『おおかみこどもの雨と雪』が興業42.2億円を記録した意味は大きい。『ヱヴァ』の庵野秀明監督、『おおかみこども』の細田守監督はこれまでにも十分な成績は上げてきた。だが、今回はそれぞれにとって過去最高の成績となっており、スタジオジブリ以外にもここまで成績を上げられる監督がいることが世間一般に知られるようになったことは、アニメ業界にとって喜ばしいことだ。2013以降のアニメ映画の企画にもプラスの影響を与える可能性もある。
そのほかに注目したいのは『映画 けいおん!』の19億円。人気TVシリーズの劇場版だが2009年の『サマーウォーズ』が17億円であったことと比較すると、ファンの裾野の広さに加え、その中でもロイヤリティの高いファンのポテンシャルを十分引き出した大健闘の数字と言える。
一方、シリーズ第15作となる『劇場版ポケットモンスター ベストウィッシュ キュレムVS聖剣士ケルディオ』は第9作『ポケモンレンジャーと蒼海の王子 マナフ』以来の40億円切りとなった。ただし2013年はゲームの新ソフトのリリースがあるほか、スタジオジブリ作品ともバッティングすることから、おそらく何らかのテコ入れが行われると思われる。第9作の翌年の第10作が、10億円以上多い50億2000万円とクリーンヒットを記録しているだけに、2013年の『ポケモン』映画の動向にも注目したい。