スモール・プレス・エキスポ(Small Press Expo、略称SPX)は、メインストリームのスーパー・ヒーローものではなく、オルタナティブ系やインディペンデント系と呼ばれる作品や作家を主に扱うマンガ・フェスティバル。その対象には個人出版物・同人誌なども含まれる。
SPXが始まったのは、西海岸のオルタナティブ・プレス・エキスポ(Alternative Press Expo、略称APE)と同じく1994年のことだった。
2012年度は、9月15日と16日の2日間にわたって、ワシントンD.C.近郊のベセスダで開かれる。1日チケットが10ドル(約800円)、2日間の通しチケットが15ドル(約1,200円)。
2011年度は170のテーブルが並べられ、450人が出展者として登録した。参加者は約3千人とそれほど大きなイベントではないが、イグナッツ賞の授与や著名作家の参加など、その影響力は大きい。
今年は『ゴーストワールド』のダニエル・クロウズ氏(Daniel Clowes)や『ジミーコリガン』のクリス・ウェア氏(Chris Ware)、『スリープウォーク・アンド・アザー・ストーリーズ』のエイドリアン・トミーネ氏(Adrian Tomine)、さらにはアート・スピーゲルマン氏(Art Spiegelman)の妻であり雑誌「ニューヨーカー」のアート・エディターでもあるフランソワーズ・ムリー氏(Françoise
Mouly)などがゲストとして参加する。さまざまな講演会やワークショップが開かれる予定だ。
また、SPXは「グラフィック・ノヴェル・ギフト・プログラム」(Graphic Novel Gift Program)というプロジェクトを推進している。これはワシントンD.C.の公共あるいは学校図書館ネットワークからひとつを選び、グラフィック・ノヴェルを購入する予算を贈与するというもの。過去にSPXへ参加したことのある作家たちの作品リストが渡され、図書館の購入担当者はその中から予算の範囲内で選書を行う。2011年度はモンゴメリー郡公共図書館システム(Montgomery County Public Library System)が選ばれ、230冊以上のマンガがこのプロジェクトの予算で購入された。モンゴメリー郡公共図書館システムには22の分館が含まれている。
日本の国立国会図書館に相当するアメリカ議会図書館(Library of Congress)への協力も行っており、議会図書館内に「スモール・プレス・コレクション」(Small Press Expo Collection at the Library of Congress)が設立された。このコレクションには、SPX参加者の作品のうち、納本されていない小出版社からの出版物やそもそも納本対象になっていない同人誌、SPXのポスターやチラシなどが含まれる。
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