2011年12月15日に「平成23年度[第15回]文化庁メディア芸術祭」の受賞作品が発表された。メディア芸術祭では、「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4部門が設けられている。そのうち、「アニメーション」と「マンガ」は作品の形態が比較的明確な部門であることに対して、「アート」と「エンターテインメント」はメディアテクノロジーを使った多様な作品形態を対象にした部門といえる。

今年度の受賞作品は以下のとおりである。

大賞:『Que voz feio(醜い声)』(山本良浩、日本、映像)

優秀賞:『particles』(真鍋大度/石橋素、日本、メディアインスタレーション)、『The Saddest Day of My Youth』(Brian ALFRED、アメリカ、映像)、『つながる天気』(片山義幸、日本、Web)、『BLA BLA Vincent』(MORISSET、カナダ、Web)

新人賞:『Monkey Business』(Ralph KISTLER/Jan SIEBER、スペイン、インタラクティブアート)、『SENSELESS DRAWING BOT』(菅野創/山口崇洋、日本、インタラクティブアート)、『HIMATSUBUSHI』(植木秀治、日本、映像)

アート部門は映像作品3点、メディアインスタレーション1点、Web作品2点、インタラクティブアート2点である。受賞作品のなかには、とらえ方次第では他部門を横断する作品が見られる。エンターテインメント部門も同様な傾向がある。このような作品の形態や性質の多様性を積極的に受け入れる特徴は、メディア芸術祭の伝統のようなものだろう。

メディア芸術祭は1997年より開催されているが、2002年までは「デジタルアート(インタラクティブ)」「デジタルアート(ノンインタラクティブ)」「アニメーション」「マンガ」の4部門であった。当時の受賞作品を振り返ってみると「デジタルアート(インタラクティブ)」には、メディアアートのほか、ゲーム、携帯電話用のアプリ、ロボット製品などがある。また、「デジタルアート(ノンインタラクティブ)」では、CG作品やCGで制作されたアニメーション作品が中心であった。

2003年に「アート」と「エンターテインメント」の部門が設けられて以降、両部門の受賞作品にメディアアートが見られる。メディアアーティストが活躍する領域はアートにとどまらず商業、デザイン、エンターテインメントなど多岐にわたる。そのような意味で、ジャンルを横断する表現活動を対象にしたメディア芸術祭は定義が難しいメディアアートの一側面を評価してきたといえる。今後も、メディア芸術祭が多様なメディアアートや表現活動を支えるフェスティバルとして機能していくことを期待したい。

今年度のメディア芸術祭は、2012年2月22日から3月4日まで国立新美術館で開催される。

平成23年度[第15回]文化庁メディア芸術祭授賞作品プレスリリース

http://plaza.bunka.go.jp/festival/2011/pdf/111215_press.pdf