日本バーチャルリアリティ学会は、2011年11月20日に全国3カ所(東京大学、大阪大学、東北大学)で第3回バーチャルリアリティ技術者認定試験を実施する。同学会は、バーチャルリアリティの技術分野における専門家の養成を目的として、認定試験用教科書『バーチャルリアリティ学』(工業調査会、2010)を出版するとともに、これに基づく講習会および認定試験(ベーシックコース)を2010年より開催してきた。2011年10月23日に、東京大学で舘暲氏(慶應義塾大学大学院教授)、佐藤誠氏(東京工業大学教授)、岩田洋夫氏(筑波大学大学院教授)、廣瀬通孝氏(東京大学大学院教授)らによって開催された講習会の様子は、DVDに収録され、認定試験申込者に配布されている。ウェブサイトからは、試験の過去問題と模範解答のPDFがダウンロードできる。

日本バーチャルリアリティ学会は1996年に設立された非営利組織。同学会によれば、「バーチャルリアリティの基礎としては、コンピュータグラフィックスを中心とする計算機科学、ロボットや機械の計測制御通信工学や情報システム科学などに加え、美術・芸術や認知心理学を始めとする人文・社会科学や、生体工学、生理学、医学があり、その意味でバーチャルリアリティは芸術と科学技術が統融合する一つの総合科学 (Science and Art) としての新しい学問分野」であるという。

バーチャルリアリティは、メディアアートとの結びつきが強く、とりわけ1990年代には、HMD(Head Mounted Display、頭部に装着するディスプレイ装置)やCAVE(Cave Automatic Virtual Environment、没入型3次元可視化装置)などを使った作品が多く制作された。バーチャルリアリティの技術が応用されているオーグメンテッドリアリティ(Augmented Reality、拡張現実感)やミクストリアリティ(Mixed Reality、複合現実感)もメディアアートに取り入れられてきた。また、このようなバーチャルリアリティの技術を題材にした映画、マンガ、アニメ、ゲームも多く見られ、メディア芸術を支える重要な学問分野の一つとして注目を集めている。