中世フランドルの画家であるヒエロニムス・ボス(1450頃−1516年)の没後500周年を2016年に迎えることを記念して、2010年から2020年にかけてオランダでは総合的な文化事業が行われている。ボスの絵画は、誘惑/罪/義認といった聖書の寓話をテーマにしているようでありながら、超現実的でミステリアスな独自の画風で多くの芸術家や科学者らに影響を与えたことで知られる。そのような、謎に満ちた画家の尽きることのない創造性を探求する多様な事業を3つのテーマ「都市(City)」「ファンタジー(Fantasy)」「マインド(Mind)」に基づいて展開する。

その中で、ボスをテーマにしたゲームの国際コンペ「ボス・アート・ゲーム(International Pitch Competition for Bosch Art Game)」が実施される。まず、応募者はボスの芸術活動から着想を得たオリジナルのゲームに関するプロポーザルをビデオ、文書などで提出する。プロポーザルはウェブサイトで公開され、1次審査通過者は制作費2,500ユーロで5ヶ月間かけてプロトタイプを制作する必要がある。さらに、2013年7月の最終審査で最終開発を進めることができるゲームが発表される予定だ。

同コンペでは、ゲームを通してボスの魅力を広く周知したり、研究を促すことが目的で、審査ではゲームの芸術的側面や教育的側面が重視されるようだ。美術史研究者、アーティスト、デザイナー、エンジニアらによるコラボレーションも期待できる。プロポーザルは、ウェブサイトで受付ける。〆切は2012年12月31日。

ちなみに、歴史上の人物をゲームに取り入れた興味深い事例として、ボードゲーム「アラン・チューリング版モノポリー」がある。数学者アラン・チューリング(1912–1954年、英国)は、現在のコンピューターの原型ともいえる「チューリング・マシン」の構想や、人工知能の研究に影響を及ぼした機械の知性を判断するための「チューリング・テスト」を考案した人物で知られる。チューリングがかつて遊んでいた手書きのモノポリーが2011年に発見され、Google社のサポートによってチューリング生誕100周年にあたる2012年に「アラン・チューリング版モノポリー」発売が実現した。チューリングゆかりの場所や出来事などが盛り込まれており、ゲームを通して彼の足跡をたどることができる。

国際コンペ「ボス・アート・ゲーム」

http://www.bosch500.nl/en/bosch-art-game