概要
「アニメーション制作に係わる現場事業者が必要とするデジタル制作技術に関する情報提供の機会を創出する」ことを目的とし「ACTF2018」を2018年2月10日に開催。アニメーターやアニメーション制作ツールを開発・販売する企業が登壇したメインセッションやセミナー、アニメーション制作ツールの展示などが行われた。ココネリホール(東京)をメイン会場とし、サテライト会場として、札幌放送芸術専門学校、日本アニメ・マンガ専門学校(新潟)、大阪アニメーションカレッジ、京都精華大学、九州ビジュアルアーツ(福岡)等を予定している。中継拠点数は昨年の5拠点から増加予定である。開催に先駆け、定例会議、勉強会、ワークショップ等を開催し、アニメーション監督の入江泰浩によるライブドローイング(USTREAM中継)なども行う。
中間報告
報告者:一般社団法人 日本アニメーター・演出協会事務局 事務局長 大坪英之
ココネリホールは一昨年開催した利便性の良い会場ではあるものの、施設予約の理由からメインセッション会場は3ホールから2ホール体制に縮小となり、展示はホワイエで行う予定である。
近年、業界内のデジタル化に関する他事業も盛んに開催されているが、あくまでも制作者に注目して、多彩な表現ができるような技術・情報提供の場として活動し、制作現場の実作業者が実感を得られる発表・出展内容に心がけたい。
大坪英之
最終報告
報告者:一般社団法人 日本アニメーター・演出協会事務局 小山敬治
「アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)」を2017年2月11日に開催した。
業界内のデジタル化の話題の移り変わりが早いこともあり、2018年2月開催時点で適した内容について慎重に議論を重ねた。
会場については、昨年までのサテライト会場(北海道、福島、新潟、京都、福岡)に合わせて、人口集積度が高い関東圏/関西圏に多くのアニメ関連教育機関が集まる実態を反映し、東京、大阪でのビューイング会場を追加・実施し、151名が視聴した(該当施設の教員、学生を含む)。
メインセッションでは、アニメーション制作にデジタルツールを活用しているエクスペリメントラボ〈仮〉、株式会社クリーク・アンド・リバー社、株式会社スタジオ雲雀が登壇し、実例を通してデジタルツールでのアニメーション制作の実情や今後の展望・課題について発表した。その後の「デジタル作画はアニメーション制作に本当に必要なのか!?」と題したシンポジウムでは、毎クールの新作投入・劇場作品の需要増加に伴い、キャラクター表現の複雑化とクオリティ重視が強まるなか、アニメーション制作の現状と課題について議論した。
セミナーは6本開催され、アニメーション制作支援アプリケーション開発の現状や最新ワークフロー、第一線で活躍しているアニメーターによる体験談などが紹介された。
展示エリアでは、実際にデジタルツールを使用した制作体験もできた
来場実績の職別内訳をみると、監督・演出、プロデューサー、制作進行が約20~25名と最も多い来場者層となった。他方で、作画職(作画監督、原画、動画)については10~20名前後と想定より少なく、まだまだ「作画のデジタル化」の意識は現場には浸透していないように見受けられる。メインセッション、セミナーの感想からは、来場者にとって業務に直結する有益な情報提供の場として有効に活用され、デジタル制作環境を制作現場に導入する機運を高める効果があったものと考えられる。
改善点としては、メインセッションとセミナーがほぼ同時並行で開催されており、人気のセミナーに参加者が集中したこと、2016年と比して会場の利用可能面積が3/4程度減少したことが挙げられる。来年度は、開催時期や曜日の変更も踏まえ、より広い会場で実施したいと考えている。また、来場者アンケートから業界の熱気を伺うことができたが、「作画」「制作管理」「プロデューサー」それぞれの立場から見る『デジタル化』の微妙なズレが顕在化しているため、ACTFでとりあげる題材については慎重な検討が必要である。
小山敬治
※敬称略