2014年9月14日、京都造形芸術大学の瓜生山キャンパスで開催される「アニメーションブートキャンプin京都」が、ワークショップの参加者を公募している。「アニメーションブートキャンプ」は、「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」の一環として、(前身のものを含め)2011年以来毎年開催されている産学連携のプログラムである。このプログラムの大きな特徴は、アニメーション産業において現役で活躍するアニメーターたちが、アニメーション制作を志す学生たちに対してワークショップ形式で指導を行う点にある。

2000年代、様々な美術大学においてアニメーションの専攻が設立されるなど、アニメーションを大学で学ぶ機会が増加した。その結果、映画祭を中心とした世界のアニメーション・シーンで活躍する人材が数多く輩出されるようになったわけだが、「作品」を作ることに主眼を置くその教育方針は、必ずしも、アニメーション産業側のニーズに合うわけではなく、その両者の間のギャップはしばしば指摘されてきた。

「アニメーションブートキャンプ」は、その隙間を埋めるようなものとして注目される。今年度の同プロジェクトのディレクターを務める布山タルト東京藝術大学大学院教授の表現を借りれば、「アニメーションブートキャンプ」とは、美術大学内での教育でもなく、また、商業スタジオ内での訓練(もしくは専門学校での技術の習得)でもない、美術大学で学ぶ学生たちが商業スタジオで活躍する講師から教えを受けることができる「第三の学びの場」を提供するものとして、日本のアニメーション界における珍しい試みとなっている。

学生に対するスタジオからの教育プログラムということでいえば、近年ではカナダの「ホットハウス」が有名だ。「ホットハウス」はカナダ国立映画制作庁がカナダ国内でアニメーション制作を学ぶ学生を対象として、企画立てから作品制作、ポスプロまで、スタジオ内の施設を用いて1本の作品を完成させるまでを、著名な作家の指導のもと、12週間で体験させるもので、カナダ国内の数多くのアニメーション作家がこの制度を通じて学んでいる。イギリスではロイヤル・カレッジ・オブ・アートの卒業制作作品が商業スタジオの支援を受けるケースがある。それは、優秀な学生をリクルートしたいというスタジオ側の思惑とも重なっている。

「アニメーションブートキャンプ」とこれらの制度との違いは、「作品」そのものではなく作品を成立させるための技術を習得するためのプログラムとなっていることである。カナダやイギリスの例と比較してみると、産学連携が図られたとき、産業界と学界のニーズのマッチするところが日本においてはそれらの例とは異なっていることが興味深くもある。

「アニメーションブートキャンプ」は、前身となる2011年の「アニメーター育成プログラムテストケース」の開催以来、美術大学の学生に参加者を絞ったり、合宿形式を採ったりするなど、形態としてはマイナーチェンジを繰り返してきた。今年9月に開催される「アニメーションブートキャンプin京都」は、それらの試行錯誤を経たうえでの集大成的なものとなっている。参加者は全面的に公募され、また、高校生以上に対象が拡大され、かつ定員100名というこれまでにない大きなスケールで行うという意味で、同プロジェクトにとっての新たな一歩であるといえる。

今年度の講師は、アニメーターの浅野直之氏、稲村武志氏、押山清高氏、京極義昭氏。同プロジェクトのディレクターは東京藝術大学教授の布山タルト氏とアニメーションプロデューサーの竹内孝次氏が務め、アドバイザーには同大学大学院教授の岡本美津子氏が名を連ね、体制の面でも産学連携が図られている。

「アニメーションブートキャンプin京都」への参加申し込みは、8月22日まで。詳細については、公式の募集ページを参照のこと。

「アニメーションブートキャンプ in 京都」 開催決定のお知らせとワークショップ参加者募集について
http://mediag.bunka.go.jp/article/bootcamp_kyoto-2447/