経済産業省は、コンテンツ技術イノベーション促進事業の一環で、優れたコンテンツ技術を毎年「Innovative Technologies」として採択・表彰おり、今年度も採択プロジェクト20件が発表された。未来のコンテンツ表現およびそれを支える技術に関する先駆的な取り組みから、今回は特に産業界のプロジェクトをいくつか取り上げて紹介したい。

パイオニア株式会社が開発する「ホログラムプリンター」は、小型のプリンターを用いてリップマンホログラム(反射型ホログラム)の印刷・出力を簡単に可能にするものである。従来高度な撮影技術やデータ作成技術、および大規模な装置が必要であったホログラム表現をより多くのユーザーやクリエイターの手に届ける革新的な技術である。

富士フイルム株式会社からは、「次世代フレキシブルデバイス電気音響変換フィルムBEAT」が採択された。これは、Bendable Electro-Acoustic Transducerという名の通り電気信号を音響に変換し、かつ曲げることができるフィルム型のスピーカーである。高い音質を確保した上で、巻き取ったり、曲げを含んだこれまでに無い形状のスピーカーを実現することができる。ロボットや曲面映像スクリーンと組み合わせるなど多様な応用展開が期待できそうだ。

日本電信電話株式会社 NTTメディアインテリジェンス研究所の「Visual SyncAR:映像同期型AR技術」は、ディスプレイに表示された映像の中に、人間の目には気付きにくい形で情報を埋め込む電子透かし技術を導入したものである。ディスプレイに映っている映像を、携帯端末のカメラで撮影することで、その映像に同期する形で付加情報を得ることができる。このシステムを用いると、たとえばスポーツのパブリックビューイングに対して、リアルタイムに変化する関連データを見たり、連動する形で別のコンテンツが動くということが可能になる。場を共有しながらも鑑賞者のニーズや好みに合わせてカスタマイズした鑑賞体験を提供できるという意味で非常に魅力的な技術である。

この他にも、採択プロジェクトには、大学の研究室を中心に、映像・音楽・インタフェースなど様々なジャンルにわたる新規的な提案が並んでいる。そして、全ての採択技術は2013年10月24日から日本科学未来館にて行われる「デジタルコンテンツEXPO2013」において展示される予定である。

Innovative Technologies 2013採択技術に関するニュースリリース

http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130910001/20130910001.html

Innovative Technologies 2013採択技術一覧

http://www.dcexpo.jp/exhibition_index