経済産業省がコンテンツ産業の発展に貢献することが期待される技術を表彰するInnovative Technologies 2014が発表された。2014年10月23日から26日にかけて日本科学未来館で開催されたデジタルコンテンツEXPO2014の中でその採択技術の展示が行われ、今回はその受賞技術からいくつかピックアップして紹介したい。
まず、株式会社JINと慶應義塾大学、芝浦工業大学、東北大学が共同で開発したJINS MEMEは、メガネに内蔵されたセンサを用いて装着者の眼球の動きを検出することができるスマートウェア。眼球の動きは、人間の注意や疲労、集中力などさまざまな状態と関連があると言う。得られたデータをスマートフォンのアプリ等と連携することで、人間の生活を記録・予測する新たな日常体験が期待される。近年注目を集めるウェアラブルデバイス関連では、このほかにも株式会社電通サイエンスジャム/株式会社電通のNeurocamなどユニークな展示が目立った。
次に紹介するのは、WHILL株式会社が展示を行った最先端の電動車椅子WHILL。小さなタイヤを組み合わせて作られた車輪により、回転半径が小さくなり、狭い空間での小回りや、段差などを含む悪路の踏破性が向上した。機能のみならずスタイリッシュな外観や、ジョイスティックによる直感的なインタフェースも搭載し、移動の考え方を大きく変えてくれそうだ。今回、移動体関連の提案としては他にも、スケルトニクス株式会社の動作拡大型メカニカルスーツ、スケルトニクス・アライブの実演が注目を集めていた。
もう一つは、東京大学とAgIC株式会社が共同開発したAgIC回路プリンタ。これは、銀ナノ粒子を含んだ導電性インクを用いることで、家庭用のプリンタを電子回路印刷プリンタに様変わりさせる技術である。紙に印刷された回路パターンに、LED、スイッチなどの電子パーツや電源を取り付けるだけで、紙が電子回路として機能する。プリンタや専用インクカートリッジはすでに販売されており、デザイン性と機能性の共存する新たな電子工作の形が開拓されている。
これらのプロジェクトの多くは、すでに製品化されていたり近い将来の製品化を念頭に置いたもので、むきだしの技術ではなく、プロダクトそのものがとても洗練され魅力が詰め込まれている。未来の開拓・提示と社会や日常への導入・展開が同時進行で進んでいく近年の技術開発の潮流が垣間見える印象的な展示であった。
Innovative Technologies 2014
http://www.dcexpo.jp/exhibition_index#itech