2012年は「谷口ジロー展」が国内外3カ所で開かれる予定だ。谷口ジロー氏は『坊っちゃんの時代』『孤独のグルメ』『事件家稼業』『神々の山嶺』『歩く人』など、これまで数々の名作を生み出してきた。海外での評価が極めて高い日本人作家の一人で、2011年にはフランス文化省より芸術文化勲章シュヴァリエを受賞している。
すでに開催されているのが、東京の明治大学米沢嘉博記念図書館での「孤独のグルメ:谷口ジロー展」。『孤独のグルメ』を中心とした原画が約150点展示される。会期は2012年6月1日から9月30日までで、大量の原画が4期に分けて展示される。この展示に合わせて、谷口氏自身の講演も含めたイベントが3回予定されているそうなので、ホームページで詳細を確認してほしい(ただし、第1回目のイベントは既に募集人数に達したとのこと)。
この展示は谷口氏の出身地である鳥取県との連携企画となっており、鳥取でも「第2回谷口ジロー原画展」が2012年11月6日から11月20日まで開催されることになっている。これは2011年度に鳥取で開かれた第1回目に引き続き開催されるもので、原画や関連資料など約100点が展示されるとのこと。2012年は「第13回国際マンガ・サミット」が鳥取で開かれる予定で、鳥取県は2012年度を「マンガ王国とっとり建国」と銘打って様々なイベントを予定しており、この展示もマンガ・サミットのプレ・イベントとして位置づけられている。
また、フランス・アングレームにあるCIBDI(マンガとイメージの国際都市)でも、2012年6月30日から10月7日にかけて、「谷口ジロー:逍遥礼賛展」(Jirô Taniguchi : éloge du détour)が開かれる。谷口氏は芸術文化勲章シュヴァリエを受賞しているだけでなく、先日惜しまれつつこの世を去ったジャン・ジロー(メビウス)氏の影響を若い頃に受けるなど、フランスとは以前から深い関係にある作家だ。この展示では『歩く人』『坊っちゃんの時代』『孤独のグルメ』『神々の山嶺』などの複製原画が展示される。CIBDIは今年の夏に「Mangapolis」と題して、以前紹介した「Mangapolis:日本マンガにおける現代日本都市の表象展」を中心に、様々なイベントを展開する予定で、この「谷口ジロー展」の他にも、「ドラゴンボール展」「辰巳ヨシヒロ:マンガからスクリーンへ展」「ドリームランド展」(フランス人作家による日本マンガ・スタイルの作品)といった展示や、いくつもの子ども向けワークショップが開かれる。また毎年夏に開かれているシンポジウム「アングレーム夏季大学」でも、今年は日本マンガをテーマにした発表や討論が行われる予定。
今年は、上質で深みある谷口世界を再発見する、よい年となりそうだ。
東京・米沢嘉博記念図書館「孤独のグルメ:谷口ジロー展」
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/exh-jiro_taniguchi.html
鳥取・ギャラリーそら「第2回谷口ジロー原画展」
http://www.torican.jp/event/4479
フランス・CIBDI「谷口ジロー:逍遥礼賛展」
http://www.citebd.org/spip.php?article3637