学習院大学アーカイブズ学専攻と京都大学大学文書館が共催して、国際セミナー「デジタル記録とアーカイブズ」を2012年6月23日に開催する。ルチアナ・デュランチ博士(ブリティッシュ・コロンビア大学教授、カナダ)を招聘し、「デジタル記録の信頼性確保に向けて−インターバレス・プロジェクトの成果」と題した講演会が京都大学にて行われる予定だ。デュランチ博士は、電子記録管理論の研究者で、現在の研究テーマは「デジタル記録の長期的信正性保持に関する研究(Long term preservation of Authentic Digital Records)」であり、電子システムにおける記録の信正性の永続的保存に関する国際研究プロジェクト「インターパレス・プロジェクト(InterPARES: International Research on Permanent Authentic Records in Electronic Systems)」の代表も務める。

主催者によれば、「アーカイブズ学の目的は、記録情報の証拠性を永続的に保存し、研究資源、文化資源、社会資源、ならびに組織資源として活用できるようにすることにある。しかしデジタル記録の場合、紙媒体記録と違って、情報の信正性と証拠性を長期的に保存するためには、従来と異なる理論と方法が必要である」という。

メディアアートあるいはメディア芸術のデジタル記録として想定されるドキュメンテーションや中間生成物などは多様である上に、アーカイブズ学で扱われる公文書のような対象と比べて求められる信正性の重点がやや異なる場合があると考えられるが、互いに学び合える点も多い。その意味で、「デジタル記録の信正性保持」と「デジタル記録の永続的保存」は注目すべきテーマであろう。

国際セミナー「デジタル記録とアーカイブズ」
http://kua1.archives.kyoto-u.ac.jp/ja/ugoki.html