ホログラフィを使った作品で知られるアーティストであるウェニヨン&ギャンブル(Wenyon & Gamble: マイケル・ウェニヨン氏(Michael Wenyon、米国)とスーザン・ギャンブル氏(Susan Gamble、英国)の2人組)は、個人ウェブサイトで自身の活動に関する様々な情報や資料を公開している。

展覧会リストをはじめ、作品に関するドキュメントや写真、映像、論文、出版物などを閲覧することができる。個人使用/研究目的という条件付きでダウンロード可能な展覧会カタログもある。映像資料では、作品の記録のほか、現在は実際に見ることが難しいホログラフィの制作プロセスを見ることができる。

また、ウェニヨン&ギャンブルは、日本に1990年から2年間滞在し、当時ホログラム撮影機器があった筑波大学芸術専門学群で制作した作品《Bibliography》を1992年に東京都写真美術館「インスタレーション・エイジ──空間と視覚」展や水戸芸術館「クリテリオム04」に出品した。その後、1994年に王立天文台(エジンバラ、英国)で滞在制作した作品を水戸芸術館「宇宙の旅」(2002年)に発表し、それらの資料もウェブサイトに掲載する。

1976年にニューヨークで開館したホログラフィ博物館(The Museum of Holography、米国)はホログラムの科学的/美術的アプローチを包括的に紹介したことで知られるが、15年間の活動の後に1992年に閉館した。現在、同館のコレクションはMIT博物館に所蔵されている。

日本では、1976年の「ホログラフィの幻想展──レーザー光による三次元世界への招待」(西武美術館)で大規模な展覧会を皮切りに、2000年頃まで度々ホログラフィ作品が紹介された。代表的な日本人アーティストとして石井勢津子氏、三田村畯右氏らが挙げられる。

近年、メディアアート史研究が活発に行われている中、レーザーやホログラフィを使ったアートに関する研究が学会等で発表されることは稀である。ホログラフィを使った作品を鑑賞する機会が少ない上、資料が稀少でそれにアクセスできる環境が整っていないことも理由にあるだろう。今後、メディアアート史に埋もれてしまいかねないホログラフィック・アートにもスポットが当たることを期待したい。

「ウェニヨン&ギャンブル」のウェブサイト

http://wengam.com/