フランス、パリ近郊で2012年7月5日から8日にかけて開催されていた第13回ジャパン・エキスポが終了した。目標来場者数は19万人とのことだったが、平日である木曜日(5日)の入場者数および売上がともに昨年度の土曜日を上回っているという話も聞いたので、その目標は難なくクリアされただろう。

今年も浦沢直樹氏、猿渡哲也氏、稲船敬二氏やきゃりーぱみゅぱみゅ、ももいろクローバーZ、はてはマック赤坂まで、多彩なゲストが訪れていた。会場では自著の仏語訳同人誌を販売する萩尾望都氏の姿も見られた。マンガ、アニメ、ゲームのスタンド、日本武術を体験できるコーナー、たこ焼き・お好み焼きの物販会場、日本の地方自治体PRブースなど、なんでもありの雰囲気の中でコスプレイヤーたちが練り歩いていく、まさにお祭り騒ぎの一大イベントだ。

ジャパン・エキスポは、ジャン=フランソワ・デュフール氏、サンドリーヌ=デュフール氏、トマ・シルデ氏ら3名の若者たちの手によって始められた。第1回目は1999年に当時シルデ氏が通っていたパリ・ビジネス高等学院(Institut supérieur du commerce de Paris)のガレージで開催されたという。来場者は約3千人。学校の文化祭のような雰囲気だったと伝えられる。

それから13年、ジャパン・エキスポは年々規模を拡大し、今やパリだけでなく、フランス国内で2か所、さらにはベルギーでも開かれるようになった。だがその一方で、フランス市場における日本マンガの売上げは頭打ち状態、今や一部のベストセラーだけが頼みの綱で、ブームの終わりも囁かれている。思えばアングレームの国際マンガ・フェスティバルも、来場者数が20万人に達した1984年の前年には、単行本売上げが下降を始めた。ベルギーのマンガ家、エルジェが逝去したのも1983年である。有力雑誌も80年代後半に次々と廃刊に追い込まれたが、国立マンガ・センター(CNBDI)設立が推進されていたのもこの頃だ。

この種のイベントにはコミュニティの再確認(再生産)としての一面があり、市場の趨勢と無関係とまではいかないまでもズレが生じるもので、単純に比例はしないものなのだろう。

ところでジャパン・エキスポは、この勢いに乗って2013年の夏にアメリカ・カリフォルニアでも開催されることが発表された。実は、パリ・ジャパン・エキスポの会場内では4年前からコミコン(Comic Con’Paris)が同時開催されており、これは元々別に開催されていたアメリカのコミックを中心としたイベントkultimaが吸収されたものだ(メディア芸術カレントコンテンツ内記事参照)。ニューヨークで逆の動きがあったことは先日お伝えしたとおりだが(メディア芸術カレントコンテンツ内記事参照)、日本だけではなくアジアという括りも含み始めたジャパン・エキスポがアメリカ西海岸でどのように受け入れられるか、これから興味深い。

ジャパン・エキスポ[日本語HP]
http://www.japan-expo.com/jp/