マンガ家の松本零士氏がフランス芸術文化勲章を授与され、2012年10月23日に在日フランス大使館で受勲式が行われた。
松本氏が授けられたのはシュヴァリエ(騎士)という位階で、これはコマンドゥール(騎士団長)、オフィシエ(士官)に続く等級だ。
この勲章は文化大臣の名のもとで授与され、日本人マンガ家としては谷口ジロー氏や大友克洋氏が受章している。フランス人としては故メビウス氏、アメリカ人としてはアート・スピーゲルマン氏などが受章者に名を連ねる。
フランスにおける日本マンガ人気はすでに頭打ち状態であると伝えられ、売上げ冊数としては2008年を頂点に緩やかな減少傾向にあるが、2010年度でも売上金額として全体の約1/4、売上げ冊数としては全体の約1/3を日本マンガが占めていた。
この日本マンガ人気の源泉となったのが、1970年代末から始まった日本製アニメーションのTV放映だ。『UFOロボ グレンダイザー』『キャンディ・キャンディ』、あるいは松本氏の『宇宙海賊キャプテンハーロック』 などが当時の子どもたちの心をつかみ、フランスにおける日本マンガおたく第一世代を形成することになる。彼らが大人になった1990年代からフランスで日本マンガ市場が形成されていく。
その他の様々な試みも今日の日本マンガ地位確立へとつながっているが、松本氏らの作品が大きな源となったことは確かだろう。最近ではフランスのバンド「ダフト・パンク」とコラボレーションした松本氏のアニメーション作品が話題を呼んだ。
今回の受章ニュースに合わせるかのように、2013年1月に開催されるアングレーム国際マンガ・フェスティバル(FIBD)への松本氏の参加が発表されている。次回は大々的に韓国マンガがフューチャーされることになっており、ここ最近フェスティバルでの存在感が低下していた日本マンガが、松本氏の参加とともにどのように扱われるのかは興味深い。フェスティバルの詳細は2012年11月16日に開かれるプレス・カンファレンスで発表されるとのこと。