東京都千代田区にある国立国会図書館では、2012年11月5日から12月8日にかけて、「日本と西洋――イメージの交差展」が開催されている。

納本制度によって、国内で出版されたすべての出版物を収集・保存・公開する施設として知られる国立国会図書館だが、それに加えて海外で出版された日本に関する出版物も収集している。

今回の展示では、そのような西洋で出版された収蔵物から日本が描かれている資料を展示すると共に、日本から見た西洋が描かれている日本で出版された資料が展示されている。

展示は大きく開国前と開国後のパートで分けられており、マルコ・ポーロの『東方見聞録』から第2次大戦期までが扱われている。

また、日本で出版された西洋から見た日本の記録として名高い『ジャパン・パンチ』やフランス人のマンガ家・画家ビゴー(1860-1927)の出版物も展示されている。

とりわけビゴーの『1897年の日本のニュース』は、はっきりと連続したコマでストーリーを物語っており、現代のマンガ研究者にとっても興味深いものだろう。

またヨーロッパでのジャポニスム流行以前、すでにシーボルトの『日本』では『北斎漫画』の影響が見られた。

資料は実物が展示されると同時に、国立国会図書館が進めるデジタル化資料と連動して閲覧ができるようになっている。館外にも公開されている資料については、公開されている展示品リストのPDFからリンクをたどって自宅で閲覧することも可能だ。

今日においても海外から見た日本のイメージには苦笑させられることが多いが(そしてそれはお互い様なのだが)、そのステレオタイプの伝統が感じられて面白い展示である。これからも海外へ日本のイメージを伝える際にこのようなズレ、ノイズは避けられないだろう。だが、たとえば文学において翻訳におけるズレが新たな文芸思潮を生み出してきたことも確かであり、それほど悲観することではないのかもしれない。

国立国会図書館ではこれまでも「大漫画展」(1991年)や「明治の息吹―漫画・諷刺画から―展」(2005年)などのマンガ関連展示が開催されている。

「日本と西洋――イメージの交差展」
http://www.ndl.go.jp/jp/event/exhibitions/1196027_1376.html