さいたま市立漫画会館は、北沢楽天(1876-1955)の業績を顕彰し、マンガ文化全般を紹介することを目的として、北沢楽天が晩年を過ごした住居跡に1966年設立された。公的なマンガ美術館としては最も早く開館した施設だ。

このさいたま市立漫画会館で、2013年3月2日から5月6日にかけて、「収蔵品展(前期)」と銘打った「『時事漫画』北沢楽天原画展」が開催される。

岡本一平(1886-1948)とならび日本マンガの祖とされる北沢楽天は、福沢諭吉(1835-1901)の義理の弟である今泉一瓢(1865-1904)の後を継ぎ、福沢の創刊した日刊新聞「時事新報』」のマンガを1899年から担当した。

そして、1902年に始まった「時事新報」内のマンガ欄「時事漫画」と、1921年(大正10年)に創刊された「時事新報」日曜版付録である「時事漫画」では楽天が主筆として活躍し、タイトルに「漫画」を用いたことで「ポンチ」が「漫画」へと名称を変える際に大きな役割を果たした。

北斎漫画とは異なった意味合いで「漫画」を用いたのは今泉一瓢のほうが早く、1915年から岡本一平らが始めた「漫画祭」などの影響も無視できないが、多くの弟子を育てた点も含め、楽天が「漫画」確立にきわめて大きな功績を残したことは間違いない。

今回の展覧会では、楽天の描いた日曜版別冊「時事漫画」の原画80点を一堂に展示し、1921年の創刊から1932年(昭和7年)の終刊までを辿る。原画は楽天の未亡人いの夫人より寄贈されたもので、長年の調査・整理を経て今回初めて一般公開されるとのこと。

「『時事漫画』北沢楽天原画展」
http://www.city.saitama.jp/www/contents/1360565221788/