東京都現代美術館(通称MOT)で、2013年6月29日から9月8日にかけて、「マンガの神様」手塚治虫と「マンガの王様」石ノ森章太郎を取りあげた「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから展」が開催される。

MOTはこれまで「マンガの時代展-手塚治虫からエヴァンゲリオンまで-」(1998年)や「スタジオジブリ・レイアウト展」(2008年) 、「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」(2012年)など、様々な日本のポピュラー・カルチャーに焦点を当ててきた。

今回の展示で取りあげられるのは、いわば現代日本マンガの王道を築いた二人の巨匠である。石ノ森章太郎は一時期手塚治虫の後継者とみなされたこともある一方で、マンガ雑誌「COM」に掲載された『ジュン』が手塚に「これはマンガじゃない」と批判され、連載を中断した事件などもあり、トキワ荘グループの中でも手塚と対照されることの多い作家だ。

展覧会図録に載せられた藤子不二雄Ⓐ氏の証言にもあるように、二人とも「手の早さ」は抜きん出ていたという。20の歳の差があった二人だが、奇しくも亡くなったのは同じく60歳のとき。それぞれの全集は手塚が400冊、石ノ森が500冊で構成されている。もちろん未収録作もありページ数も異なるので単純に比較はできないが、両者とも群を抜いた分量であることは間違いない。

今回の目玉は何といっても松本零士氏が所有していたという手塚の未発表原稿だろう。だがそれだけでなく、二人の数々の名作の原画が惜しげもなく飾られている様を眺めていると、その作品の質、幅にやはり圧倒される。石ノ森の「萬画宣言」草稿など、なかなかお目にかかれない貴重な資料も多い。

また展示会場にはトキワ荘が再現されているなど、かなり力の入った展覧会だ。

展示の最後にはマンガ家を中心とした現代作家によるオマージュ作品が並べられており、これらは図録の付録に別冊として収録されている。

「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから展」

http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/145/1