日本のメディア芸術の情報を発信する「メディア芸術カレントコンテンツ」は2013年8月12日、調査報告資料として「日本アニメーションガイド ロボットアニメ編」を公開した。同報告書は、「国産アニメーション文化のさらなる振興を前提に『自画像』を描く」試みの一環として、国産商業アニメーションの一大ジャンルである「ロボットアニメ」を取り上げ、過去・現在・未来の変遷を概観したもの。報告書は、サイトから無料でダウンロードできる。

報告書は「序章」のほか「ロボットアニメの文化史」「ロボットアニメの発展 〜玩具メーカーの連動〜」「作品の変遷」の全4章構成。「文化史」では、「ロボットアニメ」の表現がどのような積み重ねによって成り立っているかを解き明かし、「ロボットアニメの発展」では、これまでのアニメの歴史などではあまり顧みられてこなかった「玩具メーカーとの連携」という観点から、ロボットアニメの歴史が語られている。アニメ評論家の氷川竜介氏、アニメ制作会社サンライズの文化推進室室長の井上幸一氏、そして佐脇大祐氏が調査・執筆にあたった。

アニメの歴史に関する文章は、これまでともすると、非常におおざっぱな枠組みでの通史か、語り手の個人史に結びついた形での“歴史”か、どちらかに偏る傾向にあった。その点で、このような検証可能な通史がコンパクトにまとめられる意味は大きい。これによって、歴史のダイナミズムの共有が可能になるほか、個別の事象について検証・補足の可能性が広がることになるからだ。つまり、この報告書を研究者や商業ライターなどがどのように活用していくかが、今後の大きなポイントになるといえる。

日本アニメーションガイド ロボットアニメ編

http://mediag.bunka.go.jp/article/robotanimation-1143/