東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで2014年9月20日から10月19日にかけて、「わたしのマーガレット展:マーガレット・別冊マーガレット 少女まんがの半世紀」が開催されている。

「週刊マーガレット」が創刊されたのは1963年。日本でもTVが普及しはじめ、一週間という生活サイクルが重きをなしていくなかで、雑誌社系の週刊誌が続々と創刊されていた頃だ。「りぼん」(1955年創刊)を擁する集英社からは「週刊マーガレット」が、「なかよし」(1954年創刊)を擁する講談社からは「週刊少女フレンド」(1962年創刊)がそれぞれ出版される。

それより少し前に「週刊少年マガジン」(講談社、1959年創刊)、「週刊少年サンデー」(小学館、1959年創刊)が刊行されていた少年マンガの世界では、週刊マンガ雑誌の勢いに押される形で次々と月刊誌が廃刊されていくが、それとは反対に少女マンガ界では月刊誌である「りぼん」や「なかよし」が生き残り、週刊誌のほうが月2回刊や月刊へと発行形態を変えていくことになる。「週刊マーガレット」もまた、1988年に週刊から月2回の発行に変更され、「週刊」がタイトルから取り除かれる。

「別冊マーガレット」が創刊されたのは1963年。週刊誌が、増刊や別冊として兄弟雑誌や姉妹雑誌を刊行し、連載マンガの総集編や新人作家の読み切りを掲載したり、本誌から独立した月刊誌として機能させたりするのはマンガ雑誌の常套手段だが、「別冊マーガレット」も、「週刊マーガレット」の姉妹紙として登場した。

今回の展覧会は、この「マーガレット」「別冊マーガレット」創刊50周年を記念して開かれるもの。出版社自身が主催となって開催される展覧会だけあって、数々の名場面の生原稿が惜しげもなく並べられたさまは、豪華の一言につきる。

展示は「100のキス・・・Love & Kiss Forever」と題された約3分半の特別映像で幕を開ける。暗闇のなかで言祝がれる「恋愛」への讃歌が、観客を現実と隔離された展示空間へといざなう仕掛けだ。

展示カタログに採録されたマンガ家わたなべまさこ氏へのインタビューによれば、それまで「親子、兄弟、動物愛まではOK。でも男女の恋愛感情はタブー。」であった少女マンガが、「マーガレット」になって変化していったという。確かにこの頃から、愛のひとつの形である「恋愛」が大きなテーマとして浮上し、少女マンガの代名詞とまでなっていく。

来場者はそれぞれの思い入れのある作品の原画と出会い、打ち震えるに違いない。しかしそれだけでなく、「恋愛」だけではなかった「マーガレット」「別冊マーガレット」の豊かな世界も思い出すことにもなるはずだ。展示構成と出展作品についてはホームページ上の「みどころ」で確認することができる。

男子諸君には少し敷居の高い展覧会かもしれない(特に最初の特別映像を女子に囲まれて見たりするのは)。そんな人たちのため、9月29日と10月6日の閉館後(20:00〜21:00)に男性を対象にした(男性といっしょの女性もOK)スペシャルタイムが用意されているのも面白い。

その他にも、ローソンチケットで既に前売り券を購入済みの人を対象にしたサイン会などが予定されているそうだ。その他の特別企画についてはリンク先を参照のこと。

なお、2014年10月3日からは、明治大学米沢嘉博記念図書館において、同じくマーガレットを扱った「『別マまんがスクール』の成立と鈴木光明展」も開催される予定だ。

わたしのマーガレット展:マーガレット・別冊マーガレット 少女まんがの半世紀
http://my-margaret.jp