東京都豊島区の区民ひろば富士見台で、2015年2月13日に、作家・翻訳者・通訳者として長年日本マンガを海外へ紹介してきたフレデリック・ロウェル・ショット氏の講演会が開催される。
ショット氏は1970年代後半に日本へ留学中、日本のマンガと故・手塚治虫氏に出会い、様々な著作や講演会を通して、当時まだほとんど知られていなかった日本マンガをアメリカへ紹介するのに多大な貢献を果たした。とりわけ手塚治虫とは個人的に深い親交をもち、手塚がアメリカへ渡る際には、必ず通訳にショット氏を指名していたほどだと言う。1983年には『マンガ!マンガ! 日本漫画の世界』(Manga! Manga!: The World of Japanese Comics)をアメリカ合衆国で出版、日本のマンガについてまとまった情報のない時代にあって、英語で書かれたこの本は、アメリカだけでなく世界中のマニアに貴重な情報を届けた。続いて1996年には『ニッポンマンガ論:日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論』(Dreamland Japan: Writings on Modern Manga)も上梓し、この本はマール社から日本語訳も出版された。1990年代中頃は少年ジャンプが週刊600万部を突破、日本で最もマンガが読まれていた時代で、海外の読者だけでなく、当時の日本の読者にとってもきわめて有益な情報がまとめられていた。現在から見ると、当時の状況を伝える貴重な証言ともなっている。2000年にはその長年の功績が認められ、手塚治虫文化賞特別賞も受賞した。
今回の講演会は、そのショット氏による、「アメリカ人の目を通して見た日本のマンガ」と題された講演と、マンガ家・アニメーターの鈴木伸一氏との対談で構成されている。鈴木氏は、手塚治虫を慕っていた若手マンガ家が集っていたことで有名な「トキワ荘」の出身。『オバケのQ太郎』に登場するラーメン好きの小池さんのモデルとなったことでも知られる。講演会の主催者は豊島区と国際交流基金となっており、「トキワ荘」があった豊島区は、以前にもお伝えしたように(メディア芸術カレントコンテンツ内関連記事)、「トキワ荘」を中心としたマンガ関連の行政を押し進めている。
参加は無料だが、事前申し込みが必要とのことなので、リンク先の連絡先にコンタクトしてみてほしい。
マンガ研究家フレデリック・ロウェル・ ショット氏講演会(豊島区)
https://www.city.toshima.lg.jp/kanko/kankoevent/034735.html
フレデリック・ロウェル・ショット氏講演会「アメリカ人の目を通して見た日本のマンガ」(国際交流基金)
http://www.jpf.go.jp/j/culture/media/exchange/1502/02-01.html