フランス・パリにあるポンピドゥー・センターでは、2012年2月11日から5月27日のあいだ「マンガ・プラネット!」(Planète Manga !)と題されたイベントがひらかれている。

このイベントは、ポンピドゥー・センターの地下に最近新設された、13歳から16歳のティーンエイジャーを対象とするStudio 13/16で開催されており、入場は無料。

同時期に、センター内にあるシネマ1とシネマ2では、100タイトル以上のアニメ上映がおこなわれる予定。ジブリ作品から古いサイレント・アニメまで、かなり幅広いセレクションがリストには挙げられているので、プログラム[PDF]を確認してほしい。また公式のプログラム紹介動画もアップされている。これだけの有名作が一堂に会することは日本でもなかなかないだろう。

Studio 13/16で開催されるプログラムにも、日本ではなかなか経験できないものが用意されている。とりわけ萩尾望都氏の直接指導が受けられるワークショップは、年齢制限にさえひっかからなければ、日本から参加したいとおもう人もおおかったのではないだろうか。ワークショップでは、萩尾氏が客員教授をつとめる女子美術大学の協力のもと、氏の代表作のひとつである『11人いる!』を題材に、「扉絵」を描く指導がおこなわれた。ワークショップスペースの壁面には、女子美術大学付属中学校、高等学校および女子美術大学の学生たちが、日本でおなじようにして描いた作品が貼られており、できあがってくるパリの子供たちの作品との対比はなかなか興味ぶかかった。また、同日におこなわれた萩尾氏の講演会では、まだフランス語に訳されていない氏の作品紹介と解説を中心にして、聴衆の興味をそそっていた。いわゆる「24年組」の作品はまだほとんど翻訳も紹介もされておらず、できればこれをきっかけにして、フランスでももっと知られてほしいものだ。

3月3日と4日には、竹宮惠子氏とこうの史代氏の講演会も予定されており、たまたまパリにいる幸運にめぐまれた人は、ぜひ駆けつけたいものだ。こちらは京都精華大学との協力でひらかれる。2月27日から3月4日のあいだには、京都精華大学がひらくワークショップも予定されており、倉田よしみ氏などが創作指導をおこなうことになっている。

そのほかにも、紙芝居やファッションショー、剣舞などさまざまなイベントが用意されているのでプログラムを確認してほしい[PDF]

ところでこのプログラムを見ると、日本のマンガだけでなく、台湾、韓国、中国、香港のマンガに関するイベントも予定されている。最近、Mangaという言葉でこのように日本以外のアジア圏のマンガも含意する用法をときたま目にする。フランスでの日本マンガ受容があらたな局面をむかえているのだろう。

なお、ポンピドゥー・センターの図書館(BPI)では、このイベント開催中、約2500冊のアジア圏マンガを集めた閲覧室を特別に用意している。

「マンガ・プラネット!」Studio 13/16

「マンガ・プラネット!」シネマ