オランダ政府から助成を受けて運営をしている Virtueel Platform(バーチャル・プラットフォームの意)は、ニューメディアを使ったデザインや産業などの文化(e-culture)を振興するための財団。主な事業はe-cultureに関する国際会議、ワークショップ、展示などの実施の他、メディアアートを含むデジタルコンテンツに関するアーカイブの研究と出版をおこなう。1997年よりオランダ、フィンランド、インド、シンガポールで開催されたe-culture政策に関する国際会議では中心的な役割を担っているようだ。ウェブサイトでは各国で行なわれた国際会議のアジェンダや提案書を閲覧することができる。

Virtueel Platformが出版したニューメディアのアーカイブを扱った研究報告書をいくつか紹介する。

「Virtueel Platform Research: Archiving the Digital」
 
(Rachel Feuchtwang編、2011)は、ソフトウェアとネットアートのアーカイブと保存について、3つのプロジェクト(Runme.orgTurbulence.orgAktiveArchive)の取り組みを、インタビューを元に比較考察したものである。

「Virtueel Platform Research: Blast Theory」
 (Rachel Feuchtwang編、2011)は、1990年初頭よりテクノロジーの社会的や政治的な側面をテーマにした、ビデオ、パフォーマンス、インスタレーション、ウェブベースドなど幅広い表現で知られるメディアアートのグループ、ブラスト・セオリー(イギリス)の領域横断的な制作プロセスを研究したものである。また、ブラスト・セオリーが実践する自身の作品のドキュメンテーションとアーカイブや、オープンソースによって作品を継承していく試みが紹介されている。

「Archive2020: Sustainable Archiving of Born Digital Content」(Annet Dekker編、2010)は、2009年にVirtueel Platformで開催された「Archive2020会議」の報告書として出版された。デジタルデータそのものがコンテンツとなるネットアート、データベース、ゲーム、オンラインコンテンツなどのアーカイブや保存の問題に関する論考によって構成されている。「Archive2020会議」のウェブサイトでは、報告書に含まれなかった専門家によるプレゼンテーション映像や論考などを参照することができる。

これらすべての報告書はクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスで配布されており、Virtueel Platformのウェブサイトからダウンロードできる。

Virtueel Platform PUBLICATIONS

http://virtueelplatform.nl/english/publications/