「デジタルアート保存プロジェクト(The project digital art conservation)」は、ドイツ、スイス、フランスのオーバーライン地方における教育機関や、ニューメディアアートの保存・展示などに携わってきた文化施設などの組織による3カ年(2010年—2012年)の協働研究プロジェクトである。参加組織はZKM(Zentrum für Kunst und Medientechnologie Karlsruhe、ドイツ)、Haus für Elektronische Künste(スイス)、Espace Multimedia Gantner(フランス)など計6組織。その他、参加組織を含む11組織が協同融資し、the European Union’s INTERREG IV Upper Rhine programmeが助成している。
本プロジェクトは、対象地域のコレクション作品の目録化とそれらの作品を活用した保存の試みを通して、デジタルアートの保存とキュレーションに関する協力体制を促進することと、デジタルアートの保存に関する国際的な議論を活性化させることを目的にしている。先行事例(The Variable Media Network、IMAP、DOCAM、PACKED、mediaartbase.deなど)の有効な成果を参照し、さらなる議論を発展させるため、主な事業として作品保存のケーススタディ、国際シンポジウム、展覧会、出版などをおこなう。2010年11月にZKMで開催された1回目の国際シンポジウムは、ウェブサイトでレポートや映像を閲覧できる。2回目の国際シンポジウムは2011年11月にストラスブールにて開催の予定。ケーススタディではナム・ジュン・パイクやジェフリー・ショーをはじめネットアーティストユニットであるJodiの作品などが扱われる。ケーススタディの成果は展覧会「デジタルアート 保存の課題」で発表されるほか、ウェブサイト上で映像や資料が公開されていくようだ。
また、Ecole supérieure des arts décoratifs de Strasbourg(フランス)とHochschule der Künste Bern(スイス)の2大学は本プロジェクトで教育の役割を担い、デジタルアートの保存に関する大学院プログラム設置を計画する。
「デジタルアート保存プロジェクト」
http://www.digitalartconservation.org/