コミック・スタディーズ学会(Gesellschaft für Comicforschung、略称ComFor)は、2005年にドイツのコブレンツで結成された。

コブレンツ=ランダウ大学のディートリッヒ・グリューネヴァルト氏や、1974年から続くドイツのマンガ情報・研究誌「Comixene」にも関わっていたエッカート・ザックマン氏などを中心として、ドイツ各地の大学で毎年学会を開催している。

2012年度は9月27日から30日にかけて、フライブルク大学メディア文化研究所で開かれた。

7回目を迎えた今回は「マンガと政治」がテーマで、マンガとプロパガンダ、マンガと検閲、戦時下のマンガなど、幅広いプログラム[PDF]が用意されていた。

学会設立者のひとりであるザックマン氏は「ドイツ・コミック・スタディーズ」(Deutsche Comicforschung)を2004年から毎年1冊編集しており、知られざるドイツ・コミックの発掘作業を続けているひとりだ。

2008年には、フランクフルト大学児童文学研究所協力のもと、「コミックス・メイド・イン・ジャーマニー:ドイツ・コミックの60年展」がドイツ国立図書館で開催されており、外国マンガの存在が大きく独自のマンガ文化についてはあまり見えていなかったドイツで、近年になって発掘が急速に進んできていると言えるだろう。

先日お伝えした市場レポート年鑑『コミック・レポートの発刊も始まり、これからドイツのマンガ研究は面白くなりそうだ。

『コミック・レポート』を発刊しているアルフォンス出版は、マンガ情報・研究誌「Reddition」も1984年から出版しており、この雑誌にはハンブルグ大学グラフィック文学センター(Arbeitsstelle für Graphische Literatur、略称ArGL)が協力している。このセンターは1990年から活動を始めていて、2万5千点の資料を所蔵するマンガ文庫(Bibliothèque pour la littérature primaire et secondaire sur le thème de la littérature graphique、略称Bédéthek)を構築してきた。

第7回ドイツ・コミック・スタディーズ学会「マンガと政治」
http://www.comicgesellschaft.de/?page_id=2334