JMangaは日本マンガを海外に向けて発信・販売するデジタル・マンガのポータル・サイト。2011年の8月にオープンし、間もなく1周年を迎える。当初は北米からのみアクセス可能であったが、現在ではその範囲を世界に拡大し、日本からもアクセスできるようになった。英訳のついていない日本語版マンガも一部含まれている。ただし日本語版を日本から購入することはできない。
このサイトを後押ししているのはデジタルコミック協議会。秋田書店・角川書店・講談社・集英社・小学館・双葉社など、40社近いマンガ出版社で構成される団体で、マンガのデジタル化を促進させる目的で設立された。
大手出版社揃い踏みでのスタートとして注目を集めたJMangaであったが、英語版の『One Piece』や『Naruto』といったドル箱作品は、ページこそ用意されているものの購入できないままだ。現在のところ両作品ともビズ・メディア(VIZ Media)が独自に提供するiOSとアンドロイド上のプラットフォームのみで提供されている。デジタル英語版週刊少年ジャンプである「WEEKLY SHONEN JUMP ALPHA」も、日本での発売から2週間後にこのプラットフォームから入手可能だ。また、講談社USAパブリッシングも先日のサンディエゴ・コミコンでiOSの独自プラットフォームを発表した。こちらでは英語版『Fairy Tail』などの人気作品が提供されている。
今回開催されるマンガ翻訳公式コンテスト「Manga Translation Battle 2012」は、文化庁協力のもと、JMangaのプラットフォームを利用してデジタルコミック協議会が主催するもので、マンガ翻訳家志望者の活躍の場を増やすこと、そして日本マンガをさらに海外へ発信することが目的とされている。
スキャンレーションと呼ばれる、日本マンガのファンたちが違法で翻訳・配布する行為が問題になった際、その翻訳の質の悪さや誤訳がしばしば指摘された。その違法翻訳システムを逆に取り込み合法化してしまおうというデジタル・マンガ・ギルドの試みも話題になったが、翻訳レベルの管理システム不在は常に問題点として挙げられていた。コンテストという形式は、こうした翻訳レベル全体を底上げする役割も期待されるだろう。
お題として設定されたのは、井上智徳氏『コッペリオン』(講談社)、春田なな氏『チョコレートコスモス』(集英社)、さそうあきら氏『神童』(双葉社)の3作品。それぞれの第1巻第1話を英語翻訳し応募する。
コンテストへの応募はJMangaのFacebook特設ページから。応募資格はプロ・アマ・国籍を問わない。大賞受賞者(1名)は日本へ招待され、受賞作品を翻訳する資格が与えられる。優秀賞受賞者(複数名)にはiPadが景品として用意されている。応募期間は2012年7月26日から9月26日まで。
JManga
http://www.jmanga.com/
「Manga Translation Battle 2012」
http://www.facebook.com/jmanga.official/app_260529577390869