北米のオハイオ州立大学「ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアム」では、新たな検索ツール「多種文化資料ガイド」(Guide to Multicultural Resources)を公開した。
この検索ページは、アメリカ社会におけるマイノリティに焦点を合わせ、アフリカ系アメリカ人作家、アジア系アメリカ人作家、ラテン系アメリカ人作家という分類によって、同施設が保有する多様な資料を再整理、リスト化しているものだ。

リストは作家名別と、資料種別の二種類が用意されている。資料種別は、作家略歴ファイル、原画、関連する特別コレクション、カートゥーンおよびコミック・ストリップ、コミック・ブック、オンライン資料、アンソロジー、その他(展覧会カタログ、映像資料など)に分けられ、該当する作家の資料が並べられている。作家名別では、これとは逆に、作家名ごとに上記の該当する資料がリスト化されている。これら二種のリストは同じ中身とのこと。

例えばアジア系アメリカ人作家として、韓国系のジム・リー氏や日系のスタン・サカイ氏などがリスト化されている。ただし、このリストには同施設が所蔵する英語以外の資料については含まれない。

多人種国家のアメリカでは、アメリカのマンガ家と一括りにし難い一面があり、このようなリストはアメリカのマンガの中にある多様な文化を研究するための、有用な所蔵品検索ツールとなりえるだろう。
「ビリー・アイルランド・カートゥーン・ライブラリー&ミュージアム」では、「オハイオ州立大学図書館OPAC」以外にこのような検索ツールをいくつか用意しており、通常のOPACではたどり着きにくい資料へのアクセスを手助けしている。

特別コレクション検索手引」(Finding Aids for Selected Collections)では、アメリカの著名コレクター、故ビル・ブラックベアード氏から受け継いだサンフランシスコ・コミック・アート・アカデミー・コレクションや、有名作家の名が冠されたミルトン・カニフ・コレクション、ウィル・アイズナー・コレクションなどについて、その来歴や概略が記されると共に、それぞれのコレクションに特化した内容分類が行われており、資料の発見を容易にしている。

カートゥーン・イメージ・データベース」と「アート・データベース」では、書籍ではなく、新聞の切り抜きや原画の検索がキーワードで検索できるようになっている。「カートゥーン・イメージ・データベース」にはスキャンされた画像、「アート・データベース」にはフィギュアなどの立体物も含めた画像がアーカイブされている。
また、以上5つの検索ツールに加え、アメリカのマンガの祖としてしばしば言及される『イエロー・キッド』などの重要な作品・作家については、デジタル化した資料をまとめた「デジタル・アルバム」というページも用意されている。
所蔵する資料が多種・大量になればなるほど、通常のOPACだけでは利用者が資料へアクセスすることが難しくなる。参考文献リストやこういった様々な検索ツールは、所蔵資料を可視化し活用してもらうために有効な手法であるだろう。

「多種文化資料ガイド」公開アナウンスメント
http://library.osu.edu/blogs/cartoons/2013/02/06/special-announcement-guide-to-multicultural-resources-has-been-launched/