平成24年夏に東京都現代美術館で開催された「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技(以下、特撮博物館)」などを契機に、再注目を浴びる日本の「特撮」は、日本特有の精密な映像技術として発展し、世界の映像文化にも、映像を飛び出して実社会にも、多大な影響を与えてきました。

しかし、CG技術の広まりとともに活躍の場が失われてきており、特撮を取り巻く状況は大きく変化しています。
平成24年度のメディア芸術コンソーシアム構築事業では、アニメーションと深い関わりを持つ特撮の文化的系譜について、特撮博物館に携わった「特撮文化の担い手」による調査を行いました。特撮が再注目される今こそ、まさに文化として捉えなおす時機といえるのではないでしょうか。
調査結果は、以下報告書にてご覧いただけます。

<庵野秀明監督メッセージ>

どうか、助けて下さい。

特撮、という技術体系が終わろうとしています。

日本が世界に誇るコンテンツ産業が失せようとしています。

それは世間の流れというものなので、仕方ないとも感じます。

だがしかし、その技術と魂を制作現場で続ける為に抗い、その技術と文化遺産を後世に残す為に保存したいと切に想います。

ぼくらがもらった夢を次世代にも伝え、残したいと切に考えます。

それは、個人では、極めて困難な目標であり事業です。

国でも自治体でも法人でも企業でもいいんです。どうか、僕らに創造と技術を与えてくれた特撮を、どうか助けて下さい。お願いします。

特にミニチュア等の保存に関しては可能な限り速やかに助けて下さい。

よろしくお願いします。

映画監督 庵野秀明(特撮ファン)

 

<樋口真嗣監督メッセージ>

特撮。

昭和期に於いて日本独自に発展し、一時的に世界をリードしていた、縮小(ミニ)模型(チュア)を中心にした特殊撮影技術を用いて、架空のキャラクターが活躍する映画やテレビ番組がたくさんありました。

我々の先輩たちが作り上げた素晴らしい技術は、残念ながら昨今の合理化、デジタル化によって活躍の場が失われつつあります。

想像力と技術力によって生み出された自由な空想世界の遺産を、現在のアニメ、コミック、ゲームといった日本のメディア文化の源泉として未来に受け継いでいきたい、と考えます。

樋口真嗣

 

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全 体 監 修: 庵野 秀明(監督・プロデューサー)
樋口 真嗣(映画監督)
調査実施・執筆: 尾上 克郎(株式会社特撮研究所 専務取締役/特撮監督)
境  真良(国際大学グローバルコミュニケーションセンター 客員研究員)
氷川 竜介(アニメ特撮研究家)
三池 敏夫(株式会社特撮研究所/特技監督)

(肩書きは2013年3月時点のもの)

 

 

本報告書は、文化庁の委託業務として、森ビル株式会社が実施した平成24年度「メディア芸術情報拠点・コンソーシアム構築事業」の成果をとりまとめたものです。
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