インターネット・アーカイブ(The Internet Archive、米国)は、2009年6月中旬以降から現在まで米国内で放送された35万件にのぼるニュース番組のアーカイブ「TV News Search & Borrow」を2012年9月17日に公開した。ニューヨークタイムズの記事によると、米国の主要テレビ放送局CNN、Fox、NBC、PBSの他、地方放送局を含む20チャンネル、1,000シリーズ以上のニュース番組がアーカイブ対象になっている。アーカイブ公開以降、新しいニュースはオンエアの24時間後に追加される。今後は過去のニュース番組も追加していく予定で、テレビ放送が開始された年までさかのぼることを目標にする。コピーライトについては、1976年に行われた著作権法大改正で制定されたフェアユース規定に準拠する。このフェアユース規定にニュース番組を含む視聴覚資料が盛り込まれた背景には、ブァンダービルト大学(Vanderbilt University、ナッシュビル)が1968年から始めた「テレビジョン・ニュース・アーカイブ」(The Vanderbilt Television News Archive)の活動がある。このプロジェクトは「TV News Search & Borrow」の誘因にもなった。両者ともに、フェアユースの範囲内で希望者にDVDの貸出を行う。
ニュース番組の映像を網羅的にアーカイブし、かつオンラインでの閲覧を実現した同アーカイブは前例のない試みで、テレビ放送と視聴者との関わりを大きく変えた点で多くの人々に驚きを持って歓迎された。さらに、クローズド・キャプション(closed captioning、主に障がい者向けの文字多重放送)の文字情報を活用して、単語やテキストの入力によってピンポイントで番組を検索できる。例えば、アップル社の共同設立者の一人である故スティーブ・ジョブズ氏がスタンフォード大学卒業式(2005年)のスピーチで引用した「Stay hungry, stay foolish」を検索してみると、昨年逝去したジョブズ氏のニュースなどがヒットする。東日本大震災や原発事故、日中韓の領土問題などが米国ではどのように伝えられたか複数の番組で比較してみても興味深い。
アーカイブ映像は30秒ごとに分割され、検索した文字に該当する映像がインデックス的に検索結果として表示される。映像の右上にある「more / borrow」をクリックすると画面を拡大して閲覧でき、該当部分が放送された番組の全容を把握することができる。また、30秒ごとに抽出した主要なキーワードとその頻度が直感的に分かるようにデザインされている。このような映像の内容に踏み込んだ検索機能はクローズド・キャプションに負うところが大きく、本サービスが普及した2002年以前のニュース番組をどのように扱うかが課題になる。
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「インターネット・アーカイブ」がファイル配布のサービスを開始
http://mediag.bunka.go.jp/article/100-396/
The Internet Archiveニュース
http://blog.archive.org/2012/09/17/launch-of-tv-news-search-borrow-with-350000-broadcasts/