今年で10回目を迎える「東京インタラクティブ・アド・アワード(Tokyo Interactive Ad Awards、略称:TIAA)」が受賞作品を発表した。本アワードは、「インターネット上のメディアやツールの活用を中心とした企業と生活者の広告コミュニケーションを対象として、クリエイティブ(創造性)とソリューション(コミュニケーション課題の解決)を評価する広告賞」で、オンライン広告部門、アプリケーション部門、モバイル部門、オンラインビデオ部門、アウトドア部門、ベストユースオブメディア部門、その他のインタラクティブ広告部門で構成される。
オンライン・コンテンツやスマートフォン用アプリケーションなど、クリエイティブ・インダストリーと称されるような商業用のプロダクト開発には、メディアアート界で活躍するアーティストやエンジニアらが積極的に参加している。
たとえば、本アワードで「ベストインタラクティブプロダクション賞」を授賞した「Rhizomatiks」や、グランプリ作品である本田技研工業の広告「CONNECTING LIFELINES」を開発した会社の一つである「Qosmo」などには、国際的に活躍するアーティストらが在籍する。アプリケーション部門で銀賞を授賞した作品「TinyRiot」の開発には、千房けん輔氏(ネットアーティスト、エキソニモ)や比嘉了氏(アーティスト、プログラマー)、澤井妙治氏(サウンドアーティスト、Qosmo)らが従事した。また、授賞作品の多くは複数企業によるコラボレーションによって開発されており、企業間のネットワークが活発であることがうかがえる。
2000年代に入って、かつてメディアアートやネットアートで展開された表現やコンセプトの商業応用が活発になった。近年は、商業用コンテンツでも実験的な表現が見られる。アーティストとして活躍する人々も、コマーシャルやエンターテインメントのフィールドを刺激的な作品制作の場ととらえているのではないだろうか。メディアアートをとりまく人々の脱領域的な活動を総合的に評価することが求められる。
東京インタラクティブ・アド・アワード(TIAA)