『マックスとモーリッツ』(Max und Moritz)は、ドイツの作家ヴィルヘルム・ブッシュ(1832-1908)の代表作。吹き出しは用いられていないものの、韻文で書かれたテキストと効果線の多用された複数のイメージがお互いに協同してストーリーを語りかける作品で、しばしば近代マンガの祖のひとつとされる。とりわけドイツにおいては重要とされており、1984年から開かれているエアランゲン国際コミック・サロンでは、その年のもっとも優れた作家や作品に与えられる賞にこの作品の名が付けられているほどだ。
後に与えた影響も大きく、アメリカの初期マンガの代表作のひとつとして必ず挙げられる『カッツェンジャマー・キッズ』(Katzenjammer Kids)は、『マックスとモーリッツ』抜きには語れない。日本においても、『WAMPAKU MONOGATARI』というタイトルで、1887年にすでにローマ字翻訳されている。なお、この翻訳書については、国立国会図書館デジタルコレクションや、早稲田大学の古典籍総合データベースで、そのデジタル・データが公開されている。
2014年はこの『マックスとモーリッツ』の草稿が描かれてから150周年の年にあたり、これを記念して、ドイツのハノーヴァーに設置されたヴィルヘルム・ブッシュ・ミュージアムでは、2014年2月16日から4月27日にかけて「『マックスとモーリッツ』からのドイツ・マンガ150年展」(Streich auf Streich – 150 Jahre Max und Moritz. Deutschsprachige Comics von Wilhelm Busch bis heute)が開催される。
250点にも及ぶブッシュの直筆原稿のほか、『父と子』(Vater und Sohn)、『ジグルズ』(Sigurd)、『ニック・ナターソン』(Nick Knatterton)、『モザイク』(Mosaik)、『フィックスとフォクシイ』(Fix und Foxi)といったドイツ・マンガの古典作品、そして今日の作家たちの原画や印刷物も展示される予定だ。
「ヴィルヘルム・ブッシュ・ミュージアム」は1930年に設立され、ブッシュの原画や手紙、詩・散文の原稿などだけでなく、『父と子』の作者であるe.o.プラウエンなど、そのほかのドイツの重要な作家たちの関連資料も収集している。
『マックスとモーリッツ』からのドイツ・マンガ150年展