フランス・パリにある移民歴史館で、2013年10月16日から2014年4月27日にかけて、「アルバム——マンガと移民、1913-2013年展」が開催される。

この展示は三つのパートに分けられている。一つめのパートでは、20世紀からの移民の歴史を、移民マンガ家たちの足跡をたどることで知ることができるようになっている。

二つめは、移民というテーマの描かれ方、そしてそのために選ばれたジャンルに焦点を当てる。そして実際にマンガが描かれる手順を見せながら、作画過程で資料がどのように表現されていくのかを紹介する。

三つめのパートでは、描かれた移民の類型(アーキタイプ)と移住の様々な段階について分析がなされるとのこと。

近年移民を描いたマンガとしては、日本語でも翻訳があるマルジャン・サトラピ氏の『ペルセポリス』(2005年、バジリコ)が有名だろう。また、コートジボワール生まれで現在はパリに住むマルグリット・アブエ氏が原作を書き、夫のクレマン・ウブルリ氏が作画した『AYA』(フランス語版は2005年に発表)も、アングレーム国際マンガ・フェスティバルで賞を取り、人気シリーズとなった。

だがそれだけでなく、自身が移民ではなくとも、移民の2世であったり3世であったりするマンガ史上重要な作家は、おどろくほど多い。たとえば、フランスの国民的作品とよばれる『アステリックス』の原作を書き、編集者としてもフランス・マンガに重要な役割を果たしたルネ・ゴシニはポーランド系であったし、『アステリックス』の作画を担当したもうひとりの作者であるアルベール・ユデルゾ氏は、両親がイタリアからの移民であった。

本展覧会では、古くはアイルランド系移民の子孫でアメリカ人作家のジョージ・マクマナスから、ユーゴスラビアからフランスへ移住したエンキ・ビラル氏まで、あるいはサイレント・マンガで移民というテーマを幻想的に描く『アライバル』(2011年、河出書房新社)が最近注目を集めたオーストラリア人のショーン・タン氏など、幅広い作家・作品が展示される予定だ。

「アルバム——マンガと移民、1913-2013年展」

http://www.histoire-immigration.fr/2012/12/albums-bande-dessinee-et-immigration-1913-2013