メディアアートに関するアカデミックな領域は比較的新しく、広く認知されているとは言えない状況だが、オンライン・ジャーナルから学会まで世界各地で様々なレベルで論考が発表されている。現在、論文を公募している組織の情報の一部を2回に分けて紹介する。

【ロシア】

ロシアの文化省が2010年より運営する「国際文化研究ジャーナル(International Journal of Cultural Research)」では、「デジタル・カルチャー(Digital Culture)」をテーマに論文を募集している。本ジャーナルでは、オンラインと出版の2本立てで活動を行うが、本件は出版対象になる論文である。コミュニケーションや文化的経験においてデジタル・テクノロジーが無視できない状況にあるにも関わらず、研究対象として十分に注目されていないことを指摘し、デジタル文化の速い変化に考察や知識が追いついていない現状に対して懸念を示す。デジタル・カルチャーに関する、分類/理論/方法論的なアプローチを多領域にわたって募集する。

【トルコ】

イスタンブールに拠点を構えるボディ・プロセス・アーツ協会(Body Process Arts Association)は2007年より「アート&テクノロジー・プラットフォーム(Art and Technology Platform)」を運営し、アート&テクノロジーに関するフェスティバルを企画する。2012年12月10日、11日に開催予定のフェスティバルに向けて、「並列的コモンズ(Paratactic Commons)」をテーマに作品と論文を募集している。「ニューメディアによって情報共有の意義が再確認され、情報へアクセスする権利が促進されてきたこと」にフォーカスする。

【スペイン】

ポンペウ・ファブラ大学(バルセロナ)がホストを務める「第7回国際タンジブル/組込型/表現型・インタラクション学会(International Conference on Tangible, Embedded and Embodied Interaction)」が2013年2月10日から13日まで開催される。それに先立ち、展示やパフォーマンスなどのプロジェクトと論文を募集している。インタラクティブ・システムを用いたデザイン、アート、プロダクト、研究などを対象にする。学会委員のメンバーには、アルバロ・カシネリ氏(東京大学准教授)やマーティン・カルテンブルンナー氏(リンツ・アート&デザイン大学教授)らが名を連ねる。

「メディアアートに関する論考の公募(2)」へ続く

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五つの方法』を読む

http://mediag.bunka.go.jp/article/kubota-mediaart/

第4回メディアアートと科学技術の歴史に関する国際会議
「Rewire Conference 2011」

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http://mediag.bunka.go.jp/article/38icmc-119/

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オンライン・ジャーナル
「Computational Culture: a journal of software studies」

http://mediag.bunka.go.jp/article/computational_culture_a_journal_of_software_studies-183/

国際文化研究ジャーナル(International Journal of Cultural Research)

http://www.culturalresearch.ru/en/home

アート&テクノロジー・プラットフォーム(Art and Technology Platform)

http://www.amberplatform.org/en/featured/item/344-call-for-papers

第7回国際タンジブル/組込型/表現型・インタラクション学会(International Conference on Tangible, Embedded and Embodied Interaction)

http://tei-conf.org/13/